最新記事


『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が販売開始! (06/17)

『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が登場予定! (02/04)

ゲーム英語辞典『Gaminglish(ゲーミングリッシュ)』作成中(最終更新日:2016/07/08) (12/31)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定② (12/13)

『MOTHER2』のローカライズ解説本が超面白い (12/10)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定① (11/23)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ② (11/03)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ① (10/23)

ポケモンGOのエイGOをゲットだぜ (07/26)

Netdecking 【ネットデッキング】 (07/08)

Hudson Bee 【ハチ助】 (06/28)

Faceroll 【フェイスロール】 (06/21)

Legal Loli 【合法ロリ】 (06/15)

Rage quit 【キレ落ち】 (05/02)

謹賀新年 (01/01)

米国人ゲーマーグループが選ぶ「史上最高のビデオゲーム200本」 (12/07)

RNG hates me 【乱数は俺を嫌っている】 (11/25)

OTK 【ワン・ターン・キル】 (11/24)

imba 【バランスが悪い】 (11/19)

Secondhand Market / Secondary Market 【中古市場】 (11/12)

総記事数:

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マリオカート64 日本版と北米版

マリオカート64では、レース場のいたるところに架空の企業のロゴが見られます。
日本版では、実在する企業のロゴをパロディーにしたものなのですが、
北米版では全てオリジナルのものに差し替わっているんです。




 実在のロゴ        日本版のロゴ              海外版のロゴ
76gas 64J 64E
Marlboro MarioroJ MarioroE
Agip LuigipJ LuigipE
Mobile1 Yoshi1J Yoshi1E
Goodyear KoopaAirJ KoopaAirE


アメリカは訴訟大国と言われているぐらいですから、
ちょっとしたパロディーでも、著作権が云々とか言われかねないんでしょう。

ただ、ちょっと気になったのですが、↓のロゴは北米版でもそのままだったんです。
shell

てっきり、Shell(↓)のパロディーかと思ったのですが、考えすぎでしょうか…
それとも、Shellのロゴは使っても問題ないんでしょうかね?
sh


ゲーム翻訳に関する記事はこちらです→ゲーム翻訳の記事一覧
スポンサーサイト

☞ 関連記事

ゲーム翻訳 2 ~テキストファイルのフォーマット~

<ゲーム翻訳の作業の流れとテキストファイル>

今回からは、ゲーム翻訳の実践的な内容に入っていきたいと思います。ここでは、ゲーム翻訳の仕事を獲得する手段、ゲーム翻訳の大まかな作業の流れ、また、実際の翻訳作業で用いられるテキストファイルについて説明していきます。


・ゲーム翻訳の仕事を得る方法

一般的に、ゲーム翻訳の仕事を受注するには、大きく分けて以下の二つの方法があります。

1. ゲーム翻訳を請け負っている翻訳会社に登録する
2. ゲームの開発会社でローカライズスタッフ(トランスレーター)として働く


ゲーム翻訳に携わる方法としては、おそらく上記1の方法が最も一般的だと思います。上記1の方法で――つまりフリーランスの翻訳者として――ゲーム翻訳の仕事を得たいと思われる方は、インターネットで翻訳会社の採用ページにアクセスし、トライアル(採用試験)を受けてみるといいでしょう。ゲーム翻訳を請け負っている翻訳会社はここ最近どんどん増えてきているので、「ゲーム翻訳 トライアル」などで検索すればいくらでも採用ページが見つかるはずです。
また、ゲームのバグレポートの翻訳にご興味がある方は、翻訳会社だけでなくデバッグ会社の採用ページなども見てみると、翻訳者の募集が見つかるかもしれません。

私自身は上記2の形でゲーム翻訳の仕事に関わっていますが、インゲームテキストの量が膨大で社内のリソースだけでは翻訳が回し切れない場合などは(数十万ワードある場合など)、一部もしくは全てのテキストの翻訳を、会社から外部の翻訳会社や翻訳者に委託することもあります。

翻訳会社を通さずに個人でゲーム翻訳を請け負っている翻訳者は、おそらく少ないのではないかと推測します。これは、基本的にゲーム翻訳はチーム作業になることが多いからです。翻訳会社を通さずにローカライザーから直接仕事を受注している翻訳者は、私は過去に三人しか見たことがありません。ただ、そういった方法もないわけではないので、完全フリーのゲーム翻訳者になりたいと思われる方はゲーム会社のローカライズスタッフと顔をつなぎ実力を示す方法を考えてみるのもいいかもしれません。


・ゲーム翻訳の流れ

次に、ゲーム翻訳の作業の流れを説明したいと思います。プロジェクトによって様々ですが、インゲームテキストの翻訳は、だいたい以下のような流れで仕上げられていきます。

※開発元=オリジナル版を制作した海外のゲーム会社
※ローカライザー=日本語版を開発する日本のゲーム会社(「代理店」などとも呼ばれます)

①開発元がローカライザーにテキストファイルを渡す

②ローカライザーが翻訳者(翻訳会社)にテキストファイルを渡す

③翻訳者(翻訳会社)が翻訳を一通り終え、ローカライザーにテキストファイルを納品する(下訳)

④ローカライザーがテキストファイルを一通りチェックし、開発元に送る

⑤開発元が日本語テキストをゲーム内に組み込み、日本語版の開発ロムをローカライザーに渡す

⑥ローカライザーと翻訳者が(またはどちらか一方が)、日本語テキストの組み込まれたロムをプレイしながら日本語をリライトする

⑦上記④~⑥を繰り返す(マスターアップの時期までひたすら続く)

⑧日本語テキストが完璧に仕上がったら、翻訳終了

もちろんこれは非常に大まかな説明です。実際は各関係者のいろいろな事情が複雑に絡み合い、上記のような単純な工程にならないケースも多いです。


・ゲーム翻訳の作業ファイル

翻訳者は、クライアントである翻訳会社、もしくはローカライザーからインゲームテキストが入ったエクセルファイルを渡され、そのファイルの中で翻訳作業を進めます。
テキストファイルは、エクセル形式のファイルで渡されることがほとんどです。 私は過去に一度だけtxt形式のファイルで翻訳作業をしたことがありますが、他は全てエクセル形式のファイルでした。エクセルだと開発元がテキストの管理をしやすいのでしょうが、翻訳者にとっても使い勝手がいいので非常に助かります。

テキストファイルのレイアウトは、ゲームや開発会社によって様々ですが、基本的には以下のようなものになっています。


TranslationFile1

1.テキスト(文字列)のID…「String Name」や「File Name」など、名称は様々です。この列は各テキストのコンテキスト(ゲーム内のどの場面でどのように使われているのか)を特定する役目を果たします。一見、何だかよく分からない英語が羅列してあるように見えますが、実際は翻訳をする上で大いに参考になります。上の例ではIDのセルがいずれも「GAMEOVER」で始まっているので、「これらのテキストはゲームオーバー画面で使われるのかな」と見当を付けることができます。

2.備考…開発元からのコメントを記入する列です(ないことも多いです)。テキストの中に難しい英語表現やスラングが含まれていたり、テキストの表示条件が特殊な場合などに、開発元の担当者がコメントを記入してくれることがあります。

3.英語原文…英語版で使われるテキストです。そのゲームが欧州でも発売される場合、FIGS(フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語)の列が含まれていることがあります(英語を含めてEFIGSと呼ぶ場合もあります)。翻訳作業をする上でFIGSの列が邪魔だったら、「列全体を反転→右クリック→表示しない」で非表示にしてしまいましょう。私自身は毎回そうして、英語の列と日本語の列が隣り合うようにしています。

4.日本語訳…翻訳者が日本語訳を記入する列です。左のセルに記入されている英語の原文を見て、その対訳を記入していきます。多くの場合、翻訳者は、この列以外のセルには特に何も記入する必要はありません。 翻訳者からの申し送り(補足やコメント)を記入する場合は、別途、列を挿入する必要が出てくるかもしれません。


ゲーム翻訳では上の例のようなエクセル形式のファイルで作業を進める場合が多いです。そのため、エクセルの機能を多く知っておくと翻訳作業の効率を高めることができます。 詳しい説明は省きますが、私が毎回使っている機能として、「列の非表示」「オートフィルタ」「ウィンドウ枠の固定」「検索と置換」があります。少なくとも、この四つの機能は覚えておいて損はないでしょう。他にもいい機能があれば、ご教示いただけると助かります(笑)。

また、RPGなど、キャラクターのセリフがあるゲームでは、以下のような情報が追加されることもあります。


TranslationFile_Dialog

1.セリフの話者…そのセリフを発するキャラクターの名前です。この列が含まれていない場合、IDのセルに話者名が記入されているケースもあります。上の例では一応、IDのセルにも話者名を記入しておきました。

2.性別…開発元が親切だと、話者の性別まで記入してくれることもあります。名前から性別が判断できない場合などに役立ちます。日本語ではキャラクターが男性か女性かで言葉遣いが大きく異なりますので、話者の性別はセリフの翻訳をする上で必ず知っておきたい情報です。

3.セリフを発する場面…ストーリー分岐が多いゲームなどでは非常に有用な情報となります。これは、会話が行われる場所だけではなく、ファイル中のどこからどこまでが一つの会話になっているのかを判断する上でも役立ちます。上の例では場所が「King's Chamber(王の間)」から「Castle Gate(城の入り口)」に変わっているところが会話シーンの区切れ目です。


上の二つの例はあくまでも基本形です。テキストファイルのレイアウトはゲームや開発会社によって大きく異なり、ほとんどの場合、上の二つのような単純なものにはなりません。 ただし、どんなテキストファイルで作業する際にも重要な点があります。それは、各テキストがゲーム中のどのような場面でどのように表示されるのか(コンテキスト)をファイルの中から読み取りながら翻訳をする、ということです。

次回の記事では、ファイルの中からコンテキストを読み取る方法について、ちょこっと解説したいと思います。



ゲーム翻訳に関する他の記事はこちら→ゲーム翻訳の記事一覧
☞ 関連記事

ゲーム翻訳 1 ~はじめに~

<ゲーム翻訳の概要>

訪問者の皆さま、初めまして。当ブログの管理人、日本人ゲーム翻訳者の羽無エラー(はねなしえらー)と申します
当ブログをご覧いただいているということは、ビデオゲームの翻訳に多少なりとも関心を持っていらっしゃるのではないかと思われます。が、皆さまの中には、ゲーム翻訳の経験や学習歴がほとんどない方もいらっしゃることでしょう。
そこで、まずは当ブログのプロローグと致しまして、ゲーム翻訳の概要、つまり「ゲーム翻訳とは何ぞや?」ということについて、駆け足ではありますが、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。


・翻訳の世界におけるゲーム翻訳

まず、翻訳分野の1つとしてのゲーム翻訳について説明します。
一般的に「ゲーム翻訳」というと、ゲームの中で使われるテキストの翻訳を指すことが多いと思います。そういった「ゲームの中で使われるテキスト」のことを、当ブログでは「インゲームテキスト(in-game text)」と呼ぶことにします(それ以外の呼び名は聞いたことがありません)。

インゲームテキストの種類は多岐にわたりますが、私はキャラクターのセリフ、システムメッセージ、インターフェーステキスト(UIテキスト)の3つに大別できると考えています。

・キャラクターのセリフ…「どうかお姫さまをお助けください!」など、ゲームに登場するキャラクターがセリフとして発するテキスト
・システムメッセージ…「○ボタンを押すとジャンプします」など、プレイヤーに情報や指示を与えるためのテキスト
・インターフェーステキスト…「たたかう/にげる」や「はい/いいえ」など、インターフェース周りで使用されるテキスト

もちろん、これはかなり大まかな分類です。実際は、上記3つのどれにも属さないテキストや、逆に、2つ以上の要素を兼ね備えているテキスト(キャラクターが発するシステムメッセージ的なセリフなど)も多数存在します。

また、インゲームテキストの翻訳以外にも、取扱説明書やバグレポートの翻訳、ゲームのプレゼン資料や公式サイトのPR文の翻訳など、ゲーム関連ドキュメントの翻訳全般をひっくるめて「ゲーム翻訳」と呼ぶ場合もあります。

当ブログでは基本的にインゲームテキストの翻訳を指して「ゲーム翻訳」と呼ぶことにしますが、機会があれば取扱説明書バグレポートの翻訳などについても触れていこうと思っています。


・ゲーム翻訳の特徴

ゲーム翻訳は、数ある翻訳分野の中でも非常に特徴的かつ複雑な分野です。一般的に翻訳は、「実務翻訳(または産業翻訳、ビジネス翻訳)」、「文芸翻訳(または出版翻訳)」、「映像翻訳」の3分野に分けられることが多いと思います。しかしゲーム翻訳は、このいずれにも該当しません。
いえ、もっと正確には、上記3分野の性質をすべて包括しているのがゲーム翻訳である、といっても過言ではないと思います。

なぜなら、
システムメッセージの翻訳は実務翻訳に含まれ、
キャラクターのセリフの翻訳は文芸翻訳に含まれ、
ムービーシーンのセリフの翻訳は映像翻訳に含まれるからです。

もちろん、それだけではありません。ゲーム翻訳には、上記3分野にはないゲーム翻訳ならではの要素というのも多く存在します。つまり、実務、文芸、映像の三分野にまたがり、なおかつ独自の要素も持っている、それがゲーム翻訳なのです
そう聞くと、なんとなく夢いっぱいで楽しい翻訳分野であるように思えてきませんか(笑)。


・ローカライズにおけるゲーム翻訳

ここまでは、翻訳分野の1つとしてのゲーム翻訳について説明してきましたが、次に、ゲームのローカライズ工程の一部としてのゲーム翻訳についてもザッと説明しようと思います。

まず、日本のゲーム業界における「ローカライズ」というビジネスを一言で説明すると、海外の会社が作ったゲームの日本語版を作って日本で売る、またはその逆をすることです。 ローカライズの定義について詳しく知りたい方は、Wikipediaの「国際化と地域化」などをご参照ください。

海外ゲームの日本語版を制作する(ローカライズする)際、実に様々な作業が伴われます。日本人ユーザーに向けての仕様変更や、より綿密なデバッグ、日本人声優を使ったボイスオーバー、リップシンクなどなど。そしてインゲームテキストの翻訳は、そのローカライズ工程の中核をなす最も重要な作業です。海外ゲームがローカライズされる際、インゲームテキストの翻訳はほぼ必ずといっていいほど行われますし、ローカライズ作業全体の中で最も大きな割合を占めるのもインゲームテキストの翻訳となることが多いと思います。極端な話、言語以外の仕様に関しては海外版のまんまでも特に問題ないケースもありますが、インゲームテキストが翻訳されていない状態では、ユーザーがゲームをプレイすることは非常に困難になります(スポーツゲームなどでは、インゲームテキストの翻訳が行われないケースもあります)。また、RPGなど、テキストライティングの重要性が高いジャンルでは、訳文の良し悪しでゲーム全体の印象がガラリと変わってくる可能性もあります。そういった意味でも、インゲームテキストの翻訳はローカライズの要であるといえるのです。実際、インゲームテキストの翻訳のみを指して「ローカライズ」と呼ぶゲーム開発者も、たまにですが見かけることがあります。「今回は何文字ぐらいローカライズするの~?」とか。厳密には間違いですけどね…(笑)。


・日本におけるゲーム翻訳の需要

最後に、ゲーム翻訳は現在日本でどれほど需要があるのか、ということについて考えてみたいと思います。これは私の推測による部分が大きいため、必ずしも真理をついた内容になっているとは限らないことを最初に断っておきます。

近年、日本国内のゲーム会社の間で、海外へのローカライズに対する意識がグングンと高まってきています。ローカライズ工程の改善はもちろん、企画段階から海外ユーザーを意識したゲーム制作をしようという動きも、一昔前に比べて格段に広まってきているように感じます。また、業界人ではない一般ユーザーの方々が「ローカライズ」という言葉を普通に口にし始めたのも、つい最近のことではないでしょうか。欧米のゲーム市場の規模は日本のゲーム市場の軽く倍以上はありますので、より多くの利益を求めて積極的に海外展開していこうというわけですね(今は「円高」というステータス異常が付いていたりしますが…)。

しかしそれに伴い、海外から日本へのローカライズ(上記とは逆のローカライズ)も、少しずつではあるものの、着実に増えてきている実感があります。

これには、主に以下のような背景があります。

1. 海外ゲームのクオリティーがジャパニーズゲームのクオリティーに追いつきつつある(すでに追い抜いたという意見もちらほら)。そのため、日本で販売しても黒字が期待できるような良質な海外ゲームが増えてきた。
2. 一からゲームを制作するよりも、海外ゲームをローカライズした方が開発費や開発期間を抑えられる場合が多い。

要するに経済的な理由ですね。ここ近年は、ゲーム開発費の高騰や開発期間の長期化などが原因で、不況にあえぐゲーム会社が昔よりも増えてきています(海外でもスタジオの閉鎖が相次いでいます)。自らの手で一からゲームを制作する方が、日本人ユーザーのテイストに合ったゲームに仕上げられることは確かです。しかしその場合、ヒットすれば大儲けできますが、当然リスクも膨れ上がってきます。
それに対して海外ゲームのローカライズは、10億円超といった莫大な利益こそ望めないもののリスクも小さいため、ゲーム会社としては、ある種、安心して小遣い稼ぎができるビジネスモデルなのです。プロジェクトによってマチマチなので一概には言えませんが、海外ゲームのローカライズの場合、1~2万本前後出荷できればプロジェクトとして黒字になるというケースも珍しくはありません。

しかし現在はまだ、海外と日本のゲーム産業の隔たりは大きく、「海外→日本」のローカライズはそこまで普及しているわけではありません。そのため、英日のゲーム翻訳の需要もそう多くはないのが現状であると考えられます。おそらく、フルタイムで働く翻訳者が日本に数十人もいればこと足りてしまう程度の需要しかないと私は推測しています(実際は、ゲーム翻訳専門でフルで働く翻訳者は少ないので、もっと多くの翻訳者がゲーム翻訳に関わっているでしょうが)。

ただ、日本でもウケるような海外ゲームが徐々に増えてきていること、コアゲーマーを中心に日本でも海外ゲームを受け入れる基盤ができつつあること、また、一本一本のゲームのボリュームが増えてきていることなどから、今後どんどんゲーム翻訳の需要が伸びていくことも十分考えられます。本当にそうなるかどうかは神のみぞ知るところですが、これは実際、ゲーム開発の関係者の多くが口にしていることです。

また、翻訳の世界においても、「ゲーム翻訳は絶賛人気上昇中の分野である」と聞いたことがありますし、これからゲーム翻訳に関わる翻訳者が増加していく可能性もあります。実際、ゲーム翻訳を請け負う翻訳会社も、ここ数年でどんどん増えてきています。


・当ブログの目的

ゲーム翻訳は日本では比較的新しい翻訳分野であるため、インターネットや書籍などで調べようとしても、詳しい情報は、ほとんど表に出ていないのが現状です。また、確固としたノウハウが確立されておらず、その場その場で手探りで進められている分野(イレギュラーが多い分野)でもあります。

当ブログでは、ゲーム翻訳の情報を求めている方のために、現役の翻訳者がゲーム翻訳を紐解いて解説していこうと思っています。 なるべく自身の経験を交え、いわゆる「机上の空論」にならないような解説を心掛けていきますので、一人でも多くの方に、当ブログを参考になさっていただければ幸いです。

また、当ブログで解説している内容以外でも、何か知りたいことがあればお気軽にお問い合わせください



ゲーム翻訳に関する他の記事はこちら→ゲーム翻訳の記事一覧
☞ 関連記事

海外における日本製コミック、アニメ、ゲーム(2)

※本エントリーは、少々卑猥な画像や暴力的な画像を含みます。苦手な方はご注意ください。


1つ前の記事では、日本製コミック、アニメ、ゲームが海外で販売される際に、どういった要素が修正されるのかについて説明しました。今回は、それらの要素がどのように修正されるのかに焦点を当て、いくつかのパターンを説明したいと思います。



●テキスト変更
セリフなど文字を変更することで懸念要素を回避する方法です。絵そのものをいじらずに済むので、修正方法としては最も容易でしょう。

(例)
コミック『ドラゴンボール』
日本版                      北米版
DBJ DBNA
説明するまでもないかもしれませんが、亀仙人とブルマの間で、「亀仙人がドラゴンボールを見つける手伝いをしたら、ブルマの胸をつつかせてやる」という協定を結んでいたんですね。北米版では、「おっぱいをつつかせてくれ」→「ブラを見せてくれ」(Let's see your bra)へと変更されました。少し卑猥さが和らぎましたね。

ゲーム『クロノトリガー』
日本版                    北米版
CronoJ ChronoNA
日本版では「酒」の飲み比べをしようと言っていますが、北米版では「スープ」の飲み比べ(soup race)へと変更されました。



●塗りつぶし
絵の一部分を塗りつぶすことで不適切な要素を隠す方法です。絵を修正する方法としては比較的簡単な部類に入りそうです。

(例)
コミック『ジョジョの奇妙な冒険』
日本版                     北米版
JojoJ JojoNA
日本版では、シャンプーボトルに「SHANGRI-LA」の文字が書かれていますが、北米版では白く塗りつぶして消されています。「シャングリラ」は実在するホテルなので権利的に問題があるのでしょうか。

ゲーム『封神領域エルツヴァーユ』
日本版          北米版
ErelJ ErelNA
レオタードと同じ色で両脚を塗りつぶすことにより、レオタード→タイツへと衣装チェンジしました。うまいやり方ですね。



●ズーム
問題のない部分をズームアップして不適切な要素を隠す方法です。こちらも絵自体を描き直す必要はないので、お手軽な修正方法のように思えます。

アニメ『ゼロの使い魔』
地上波版                       DVD版
ZeroTV ZeroDVD
これは地上波版とDVD版の違いです。地上波では、2人の顔をアップにすることで胸を揉みしだく様子を隠しています。

ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ DREAM MATCH 1999』
日本版                  北米版
KOF99J KOF99NA
日本版ではキャラクターがワイングラスを持っていますが(飲みはしません)、北米版では顔をアップにしてグラスを隠しています。



●削除
問題のある部分を消してしまう方法です。これは、下手をすると不自然な絵になってしまうので、少々リスクのある修正方法と言えるでしょう。

(例)
コミック『闇の末裔』
日本版
DarknessJ
北米版
DarknessNA
北米版では、股間に顔をうずめている男性が削除されました。ちなみに、男性同士です(だから何?)。

アニメ『遊戯王』
日本版                     北米版
YuGiOhJ YuGiOhNA
拳銃が消えて指を差すだけになりました。勘のいい視聴者なら、銃を消したことに気づくかもしれません。



●絵を描き足す
異なる絵を描き足すことによって不適切な部分を隠す方法です。少し手間のかかりそうな作業ですね。

コミック『天地無用』
日本版            北米版
TenchiJ  TenchiNA
胸パッド(?)を描き足して胸を完全に隠しています。

アニメ『ドラゴンボール』
日本版                    北米版
FlowerJ FlowerNA
草原に咲く一輪の花が、偶然にもゴクウの股間を隠しています。



●絵の差し替え
不適切な部分を異なる絵に差し替える方法です。こちらも手間がかかりそうですね。

(例)
コミック『ヒカルの碁』
日本版                        北米版
Hikaru1J Hikaru1NA
Hikaru2J   Hikaru2NA
碁盤に押し付けているものが、タバコからガムへと変わりました。1コマ目でも、「chew chew」という擬音を入れてガムを噛んでいるように見せています。

アニメ『ブルードラゴン』
日本版                    北米版
PantiesJ PantiesNA
ヒロインの下着を使って男をおびき寄せるシーンですが、下着が紙のメッセージへと変わりました。


●設定変更
年齢や性別といったキャラクター設定を変更することで懸念点を回避する方法です。設定を変えると矛盾が生じることもあるので(大学生がセーラー服を着ていたりなど)、手間はかからないもののリスクの高い修正方法かもしれません。

(例)
コミック『淫獣学園』
日本版
BluegirlJ
北米版
BluegirlNA
日本版では、主人公の女の子は「女子高生」という設定ですが、北米版では「University Undergraduate」(大学生)となっています。お色気シーン満載の漫画で、一つずつ修正していくのは不可能に近いため、このような苦肉の策に頼らざるを得なかったのでしょう。

ゲーム『封神領域エルツヴァーユ』
日本版                      北米版
EvilZoneJ EvilZoneNA

右下に書いてある年齢を見比べると分かりますが、日本版では「14歳」だったセツナが北米版では「21歳」に設定変更されました。このゲーム、特に卑猥な場面もない健全な格ゲーだったと思うのですが、「子どもが暴力振るっちゃいかん」ということでしょうか・・・? ちなみに、このキャラ以外も、未成年のキャラは全員21歳に変更されています。



●おまけ
セリフ変更ならまだしも、絵を描き換えるというのはなかなか骨の折れる作業です。そのため、変更すべき箇所を見落としてしまったり、変更の仕方が中途半端になってしまうことがまれにあります。そんな不完全に終わってしまった変更例をいくつかお見せします。

(例)
コミック『NARUTO』
北米版ではシカマルのタバコが全て削除されているのですが↓
Naruto1J Naruto1NA

このコマだけ見落としてしまったようです↓
Naruto2J Naruto2NA


ゲーム『零 ~ZERO~』
このゲームの北米版では、主人公の容姿が西洋風に一新されました↓
        日本版                 北米版
FatalFrame_Comparison

しかし、主人公の兄のグラフィックはそのまま(和風のまま)であったため、北米版ユーザーの間では、「兄弟に見えない」という意見が多かったそうです。

日本版 兄との再会シーン
FatalFrameBrotherJ
北米版 兄との再会シーン
FatalFrameBrotherNA
画像見にくくてすみません・・・m(__)m


以上です。他にも面白い変更例などをご存知でしたら、ぜひぜひ教えてくださいませ!



☞ 関連記事

海外における日本製コミック、アニメ、ゲーム(1)

※本エントリーは、少々卑猥な画像や暴力的な画像を含みます。苦手な方はご注意ください。


日本で制作されたコミック、アニメ、ゲームなどが海外で販売される際、コンテンツの一部に変更が加えられることがあります。お国柄の違いにより、このシーンは日本ではOKだけど海外ではNG、みたいなことが多いんです(逆もまたしかり、ですが)。

では、どのような要素が海外(主に北米)で変更を余儀なくされるのか、いくつか代表的なものを説明したいと思います。



●お色気シーン
日本では少年誌なんかでもお色気シーンが頻発しますが、北米などでは、「お子様向けの作品に裸を出すなんてけしからん!」と考える偉い人が多いようです。海外のゲームレーティング機構(ESRBなど)も、日本のCEROに比べて、お色気シーンに対して厳しい目を向ける傾向にあります。

(例)
アニメ『ブルードラゴン』
日本版                      北米版
BouquetBreastJ BouquetBreastE
北米版では、女性キャラクター「ブーケ」の胸の谷間が隠されています。中には、貧乳化を歓迎するファンも?

ゲーム『ベア・ナックル3』
日本版                       北米版
SOR3J SOR3E
敵の服装が、レオタードからジーンズ/迷彩ズボンへと変更。



●拳銃
北米版のアニメやコミックでは、拳銃が異なる武器に修正されたり削除されたりすることがあります。拳銃の所持が合法であるからこそ、銃を使って殺人を犯す描写はシャレにならんのでしょう。

(例)
コミック『ドラゴンボール』
日本版
#17J
北米版
#17NA
北米版では17号の銃が削除され、殴って(またはエネルギー弾のようなもので?)一般人にとどめを刺す描写に変わっています。

アニメ『ワンピース』
日本版                      北米版
OnePieceGunJ OnePieceGunE
ヘルメッポの銃が、何やらハンマー(?)のような武器へと変更。トリガーを引くとハンマーが振り下ろされるんでしょうか・・・?



●飲酒
日本では、明らかに未成年に見える学生が居酒屋で飲んでいたりもしますが、北米では(州にもよるそうですが)、未成年らしきお客さんがバーに入ろうものなら、即、「IDを見せろ」と言われると聞いたことがあります。飲酒が可能になる年齢も21歳と、日本より遅いですしね。

(例)
コミック『Dr.スランプ』
日本版               北米版
DrSlumpJ DrSlumpNA
「酒のつまみにちょうどいいな」というセリフが、「Betcha it goes great with some salt!」(塩をかけるとうまそうだな)と訳されました。ちなみに、あかねちゃん中学生です。

ゲーム『ワリオランド2』
日本版                  北米版
ワリオJ ワリオE
日本版では、ペンギンのビールを浴びると「酔っ払いワリオ」と化し、前後不覚の状態になってしまいます。北米版でも操作がしにくくなる点は同様ですが、グラフィックがビールからボールへと変わっています。ワリオでもお酒飲んじゃダメなんですね。



●喫煙
酒と同様、タバコも違う物体に変更されたり削除されたりすることがあります。

(例)
コミック『テニスの王子様』
日本版                     北米版
Tennis1J Tennis1NA
中学生の亜久津くん、余裕でタバコ吸っていますね。北米版では何故かつまようじへと変更。これはこれでカッコいいのかもしれませんが。

ただ、↓はチョット・・・(笑)。
Tennis2NA


アニメ『ドラゴンボールZ』
日本版                     北米版
FarmerJ FarmerE
戦闘力5のおじさん、海外では最期の一服すら許してもらえませんでした・・・。



●宗教
無宗教・・・ではなく、やおよろずの神々を崇拝する日本人に比べ、海外の方々は宗教的な描写に対してかなり敏感です。

(例)
アニメ『東京ミュウミュウ』
日本版                      北米版
MewCrossJ MewCrossNA
十字架のネックレスが単なるI字のネックレスへと修正されました。十字架の描写は特に厳しく制限されますね。

ゲーム『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』
日本版
ZeldaJ
北米版
ZeldaE
架空の言語である「ハイラル語」を読んでいる場面です。日本版ではハイラル語の中に古代エジプトの象形文字(エジプト十字と鷲)らしきものが含まれていますが、北米版では異なる文字へと変更されました。

エジプト十字      鷲
 Ankh2     Vulture2



●残虐表現
少年向けのアニメやコミックでは、残虐的な描写やスプラッター表現が制限されることがあります。ゲームでは、むしろ海外→日本のローカライズの際に修正が加えられることも多いですね。

(例)
コミック『金色のガッシュ』
日本版                   北米版
ZatchJ ZatchNA
病院を暴れ回るガッシュが、怒ったナースにメスやら注射器やらをぶっ刺された(ことを暗に示す)場面です。北米版では、器具が取り除かれています。

ゲーム『キングダムハーツ2』
日本版                        北米版
JackJ JackNA
見にくくて申し訳ありませんが・・・。日本版では、ガイコツ(ジャック・スパロウ)の胸に敵の剣が刺さったままムービーが進行しますが、北米版では剣が取り除かれています。



●差別/ステレオタイプ
単一民族国家の日本では、特定の人種をステレオタイプ化して描くことにあまり抵抗を感じませんが、多人種国家ではそうもいきません。何気なく販売して後からクレームを付けられることもあるようです。

(例)
コミック『ドラゴンボール』
日本版                北米版
DB_BlackJ DB_BlackNA
北米版では、黒人さんの口を白く塗りつぶすことで唇の厚みを取り去っていますね。

ゲーム『ベア・ナックル3』
日本版                       北米版
AshJ AshNA

一見分かりにくいかもしれませんが、ボートの操縦手が日本版と北米版で全く違うキャラへと変わっています。というのも、この操縦手、ボートを降りるとこんなキャラであることが判明するんです↓

Ash1 Ash2 Ash3
典型的なオネエキャラですね。ゲイの方々から抗議が来てしまうのでしょうか?



●権利問題
日本の作品では、割と自由に他社のロゴや商品を作中に登場させたりしますが(名前を1文字変えたりしながら)、そこは「訴訟大国」と呼ばれる北米。パロディーに対しては慎重にならざるを得ないようです。

(例)
コミック『NANA』
日本版                        北米版
NanaJ NanaNA
日本版のほうのタバコ「BlackStone」は実在する銘柄です。北米版では「Blast」という架空の銘柄へと変更されました。

アニメ『東京ミュウミュウ』
日本版                       北米版
PikoJ PikoE
日本版ではTシャツに「PiPo」の文字がありますが、北米版では消えています。これは「PIKO」のパロディーですね。

ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズドリームマッチ1999』
日本版                 北米版
HeinekenJ HeinekenE
OPムービー中、缶が転がるシーンがあります。日本版の方は恐らくハイネケンの缶(↓)だと思われますが、北米版では何だかよく分からない缶に変わっています。
Heineken



●冒涜的な描写
汚い言葉や無礼な言動のことです。

(例)
コミック『D.Gray-man』
日本版                  北米版
DGrayJ DGrayNA
ネイティブにとってのFワードは、日本人が想像している以上に汚い表現だと聞いたことがあります。

ゲーム『コズミックファンタジー2』
日本版                    北米版
CosmicJ CosmicE
北米では、テレビ番組などでも中指を立てるポーズにモザイクが入ったりしますね。



●その他
上に挙げた要素に該当しなくても、文化の差異などが原因で修正が加えられる場合があります。

(例)
アニメ『東京ミュウミュウ』
日本版                  北米版
MewSteeringJ MewSteeringNA
細かい点ですが、北米版ではちゃっかり左ハンドルになっています。

ゲーム『マザー2』
日本版                     北米版
XButtonJ XButtonE
日本語:「Xボタンっていうのは…あなたのしってる そのあおいボタンよ」
 英語:「the X Button located near the top.」(Xボタンは上の方にあるボタンよ)

何故このように訳されたのかと言いますと、実は、北米版スーパーファミコン(SNES)のコントローラーはボタン配色が日本とは異なるので、「青いボタン」のままだと北米のユーザーは「どれ?」となってしまうわけです。
SnesControlpad



とりあえずは以上です。「Game Anime Censorship」などのワードで検索すると他にも多くの修正例が見つかるので、ご興味のある方はぜひお試しください!



☞ 関連記事

ブログパーツ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。