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ゲーム翻訳 6 ~コロンの活用法~

<ゲーム翻訳における、語順の違いへの対処法>


これはゲーム翻訳に限った話ではありませんが、英語を日本語に翻訳する際、両者の語順の違いが翻訳者の手を煩わせることがあります。今回は、ゲーム翻訳でそのような事態に陥ったときに私がよく使う対処法を一つ伝授したいと思います。

・英語と日本語の語順の違い

ご存知の通り、日本語のセンテンスと英語のセンテンスでは語順が異なりますよね。
例えば、以下の英文では動詞が文頭に来ていますが、
Retry from beginning of level
動詞→修飾語) 

これを日本語に翻訳すると、動詞が文末に来ます。
「ステージの最初からやり直す
(修飾語→動詞

ゲーム翻訳では、このような語順の違いが翻訳者を悩ませることがしばしばあります。上の英文が完全に一つのテキストになっていれば何も問題はないのですが、
例えば、「Retry from」「beginning of level」の二つのテキストに分かれていたらどうでしょうか? 「beginning of level」の部分が変数になっていて、「checkpoint」など、状況によって入る言葉が変わるような場合です。
もし、「Retry from」を「からやり直す」、「beginning of level」を「ステージの最初」と翻訳した場合、
実際のゲーム画面では、「からやり直すステージの最初」と、エキセントリックな日本語が表示されてしまいます。


・コロンを使った対処法

ゲーム翻訳でこういった問題に直面した時、私はコロン(:)を使って解決することが多いです(コロン以外にいい方法があったら教えてくださいまし)。
上の例でいえば、「Retry from」を「からやり直す」とは翻訳せず、「再開地点:」といったカンジに翻訳しておけば、その後ろに「beginning of level(ステージの最初)」が来ようと「checkpoint(チェックポイント)」が来ようと、
「再開地点:ステージの最初」、「再開地点:チェックポイント」と、違和感なく表示することができます。


・コロンを使う際の注意点

コロンを使う際の注意点が二点ほどあります。
まず、英語でコロンが使われる場合は、ほぼ確実に半角のコロンが使われますが、日本語では全角のコロンにしておいた方がいいと思います。 これは、日本語のドキュメントでは半角コロンよりも全角コロンの方がよく使われますし、フォントサイズによっては半角のコロンがほとんど見えない場合があるからです。

また、英語でコロンを使う場合、
単語1: 単語2
のように、コロンの後ろに半角スペースを空けるのが一般的ですが、日本語ではスペースを空けない方が一般的です。

単語1:単語2

単語1 : 単語2
のように、コロンの前後を等間隔にした方が日本人の目にはキレイに映るかもしれません(まあ、ほとんど違いはありませんが)。


開発会社は英語と日本語の語順の違いなどまず考慮してくれないので、こういった問題は実際よく起こります。 これは日本の開発者にも言えることで、海外のゲーム翻訳者が日本語からターゲット言語に翻訳する際に似たような問題に手を焼くことが多いと聞きます。

また、どうしても自然に表示する解決策が見つからない場合に、開発元に依頼して対処してもらうケースも多いです。英語と日本語の言語構造の違いが原因で自然な日本語を表示することが難しいと思ったら、まずはコロンや他の記号を使うなりして自然に表示する方法を模索してみるといいでしょう。



ゲーム翻訳に関する他の記事はこちら→ゲーム翻訳の記事一覧
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ゲーム翻訳 5 ~変数~

<ゲーム翻訳独特の要素 その2>


前回の記事では、「英語のまま残すべきテキストがある」という、ゲーム翻訳独特の要素について説明しましたが、今回もゲーム翻訳ならではの要素について説明したいと思います。


・ゲーム翻訳における変数

ゲーム翻訳では、翻訳するインゲームテキストの中に変数が含まれていることがあります。変数とは、複数の数値や文字列を保管しておく領域のことです。(詳しくはWikipediaの「変数」を参照)
と、言葉で説明してもしっくりこないと思いますので、まずは例を見てください。宿屋の店主のセリフとして以下のようなテキストがファイルに含まれているとします。

It's <Number> dollars per night. Are you going to stay?
(一晩<Number>ドルだよ。泊まっていくかい?)

<Number>が変数です。
テキストファイルの中では上のように表示されていても、実際のゲーム中では<Number>の部分に特定の数字が入った状態で表示されます(例:一晩50ドルだよ。泊まっていくかい?)。
ご存知の通り、RPGの宿屋の料金は店の場所やプレイヤーキャラクターの人数や残存体力などによって変動しますよね。実際のゲーム中では、そういった要素を計算して出した料金が<Number>の部分に表示されることになります。


・変数の対処法

変数を含むテキストを翻訳する際、変数は編集せず(駄洒落ではありません)、そのままコピペしましょう
例えば、上の例文でいうと、
「一晩<数>ドルだよ。泊まっていくかい?」
などと、変数の中を翻訳せず、
「一晩<Number>ドルだよ。泊まっていくかい?」
としましょう。

また、原文に含まれる変数は全て日本語テキストに入れましょう。以前、「これは必要ないな」と思った変数を省いて翻訳したときに、開発元からそのように言われたことがあります。私はプログラミングに疎いので詳しくは分かりませんが、日本語テキストを組み込む際に変数の数や種類が元の英語テキストと異なっていると、何やら不具合が起こる可能性があるようです。ただ、その辺りは開発会社やゲームによって異なるかもしれませんので、もし不要な変数を日本語テキストから外したいと思ったら、ローカライザーや開発元に相談してみるといいでしょう。


・変数の種類

変数の中身は、上の例のように数字であることが多いです。
数字の他には、以下のようなものがあります。

1. キャラ名
<Name> has been fully recovered.
(~の体力が完全に回復した。)

2. アイテム名
Buy <Item>?
(~を買いますか?)

3.ボタン
Press <Button> to start.

4. 周辺機器
Connect <Device> to the Wii Remote.
(Wiiリモコンに~を接続してください。)←変数には「ヌンチャク」や「Wiiモーションプラス」等が入ります。


・テキストファイルでの変数の表示方法

テキストファイルの中で変数をどのように表すかは、開発会社によって様々です。今までに最も多く見たのが、上の例のような<>を使ったものです。<>を使った変数の場合、<>の中に変数の種類が記入してあることが多いので、翻訳者としては分かりやすくて助かります。(<Number>や<Item>など)

<>を使わない変数の例としては、以下のようなものを見たことがあります。
You must be singned into %s.
→%sが変数です。この時は、PLAYSTATION®NetworkやXbox LIVEといったワードが入りました。

$ minutes ago.
→$が変数です。数字が入ることが明らかなので問題ありませんね。

Push %popup_button% to start the match.
→%popup_button%が変数です。この時にはボタンアイコンが入りました。


基本的に変数は、ここで紹介したような単純なもの(中身が容易に分かる&中身が短いもの)が多いので、あまり注意する必要はないはずです。しかしゲームによっては、中身が特殊な変数や、中身が異常に長い変数などもあります。機会があれば、そういった少し厄介な変数についても解説しようと思います。



ゲーム翻訳に関する他の記事はこちら→ゲーム翻訳の記事一覧
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ゲーム翻訳 4 ~あえて英語を残す~

<ゲーム翻訳独特の要素 その1>


「ゲーム翻訳 1」で説明した通り、ゲーム翻訳には他の翻訳分野にはない独特の要素が多く存在します。その一つが、今回説明する、「英語で表示すべきテキスト」です。


・ゲームには英語のテキストが多い

ゲーム翻訳では、一部のテキストをあえて英語のまま残すことが頻繁にあります。ゲームをよくプレイする人ならご存知かと思いますが、日本で作られたゲームの中でも英語のテキストが使われることって結構多いんですよね。

これには大きく二つの理由が考えられます。
一つ目は昔のなごりです。
ファミリーコンピューター時代など、まだゲームのロムがカートリッジだった時代は、メモリ容量の問題で日本語を組み込めないことがありました。たった26種類のアルファベットしか使わない英語に対して、日本語には平仮名、片仮名、漢字と、膨大な数の文字が存在します。必要な日本語を全て組み込むとなるとかなりの容量を食ってしまうため、英語しか使われていないゲームが昔は多かったのです(そのせいで意味の分からないテキストがいっぱいありました)。
現在でも、ゲームの中で英語テキストが多く使われていますが、これは「英語を使う」という文化(?)がゲームの世界に根付いていることが理由の一つとして考えられます。

二つ目の理由は、単純に英語がカッコいい印象があるからです。
特に欧米風の世界観やグラフィックを持つゲームでは、漢字や平仮名を多用すると雰囲気が損なわれてしまうこともあります。ローカライズされるゲームは、当然、欧米風の世界観を持ったゲームが多いので、純日本製のゲームよりも英語を使うべき機会は多いかもしれません。
ちなみに、ヨーロッパのユーザーは英語に対してそこまでエキゾチックな印象を持っていないせいか、英語からFIGS(フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語)に翻訳される際、ほぼ全てのインゲームテキストが英語からターゲット言語に翻訳されることが多いように思えます。


・英語のまま残すテキストの例

上で説明した通り、日本のゲームでは当たり前のように英語が使われるので、インゲームテキストの翻訳をする際にも、日本語に翻訳しないで英語のまま表示させた方がユーザーにとって自然に見えるテキストが多く存在します。そのため翻訳者は、どのテキストを英語で表示し、どのテキストを日本語に翻訳するべきか判断しながら翻訳作業を進めていかなければなりません。

私の経験では、以下のようなインゲームテキストを英語のまま残すことが多かったと思います。

1. スポーツゲームにおける試合中のテロップ
数あるゲームジャンルの中でも、スポーツゲームでは特に英語を多く残す傾向があります。 以前、とあるスポーツゲームの翻訳をした際に、インゲームテキストの半分以上を英語のまま残したこともありました(監修者からのアドバイスで)。

試合中のテロップとは以下のようなものです。

RingsHUD TennisHUD
UFCHUD

三枚とも、日本で放送されたスポーツ番組からのキャプチャですが、テロップ中のインフォメーションは全て英語で表示されています。地上波のダイジェスト放送では、これらのテロップが日本語で表示される場合も多いですが、生中継やCS放送などでは英語のまま表示されることも多いですよね。
そのため、欧米風のリアルなグラフィックのスポーツゲームの場合、試合中に表示されるテキストが英語のままになっている方が、テレビ中継を見ているみたいで臨場感が増すこともあるのです。

特に会場にある電光掲示板のテキストなどは、例え耳慣れない英語が使われていたとしても英語のまま残すべきでしょう(日本が舞台のゲームなら別ですが)。
Scoreboard


2. リズムゲームの評価メッセージ
『ダンスダンスレボリューション』や『ギターヒーロー』などのリズムゲームでは、ボタンを押すタイミングを評価するテキストがあります(「Good、Poor、Perfect!」などのアレです)。
以前、某リズムゲームの日本語版で、これらのテキストが「良い」、「ものすごい」、「完璧」といった具合に丁寧に日本語化されたことがありましたが、リズムゲームファンからすると逆に不自然だったようです↓

BoomBoom

リズムゲームの多くは洋楽バンド風のクールな世界観を持っていますので、曲を演奏している最中に表示されるテキストはなるべく英語のまま残した方が雰囲気を損なわずに済むと思います。もちろん、『太鼓の達人』のような和風のリズムゲームは別です。


3. 英語ボイスとともに表示されるテキスト
キャラクターのセリフ以外でも、英語のボイスとともに表示されるテキストがあります。分かりやすい例が、格闘ゲームの「Round 1 Fight!」や「Time Up」といったメッセージです。

Round1

英語のボイスとともに表示されるテキストは、日本語で表示すると不自然に見えてしまうことがあります。例えば、「Time Up」という英語ボイスとともに「時間切れ」というテキストが表示されたら、少し不自然に感じますよね。仮に日本語に翻訳するとしても、できるだけカタカナ英語を使うべきでしょう(「タイムアップ」など)。
もちろん、長いテキストや、意味が分からないとプレイに支障をきたすようなテキストの場合は、例え英語のボイスとともに表示されるとしても日本語に翻訳するべきです。


4. 「Now Loading」、「Saving」といった、処理中のメッセージ
これらのテキストは日本のゲームでも英語で表示されることの方が多いですよね。ただし「Now Loading」単体ではなく、「Now loading. Do not turn off the power.」のように文章の一部として表示される場合は、「Now loading. 電源を切らないでください。」とするよりも、「ロード中です。電源を切らないでください。」と日本語に翻訳する方が自然です。


5. スタッフロール
ローカライズタイトルでは、スタッフロールの中に開発元のスタッフの名前が含まれます。外国人の名前や海外企業の役職名は日本語に置き換えられないものも多いので、普通、ローカライズタイトルのスタッフロールは全て英語のまま流します。 テキストファイルの中にスタッフロールのテキストが含まれているケースも多いですが、何も手を加えずにそのまま日本語のセルにコピペしてしまいましょう。
日本語版の製作スタッフのみ日本語で表示する場合もありますが、そのような判断はローカライザーの方でするので、翻訳者は特に何も気にする必要はありません。


6. その他、日本のゲームでも英語で表示されることが多いテキスト
・RPGにおける「HP」や「MP」などの、ステータスを表す略語←マニュアルに説明があるはずなので、英語のままで問題ありません。

・タイトル画面の「Press START」、「Press Any Button」など←対象年齢が低いゲームでは、日本語で表示されている場合もあります。
PressStart

・ゲームオーバー画面の「Game Over」や「Continue?」

・アーケードゲームの移植版などで見る「Credit(s)」←スタッフクレジットではなく、ゲームプレイの残り回数を表すクレジットです。
Credits

・著作権表記←下の画像のようなものです(見にくくてすみません)。
Trademark1 Trademark2
※右の画像には、「© 2008 Gearbox Software, LLC. All Rights Reserved.」などの事項が書かれています。

・ESRB(CEROの北米版)からの警告
Online Interactions Not Rated by the ESRB.
Game Experience May Change During Online Play.
二つとも同じ内容の警告文で、要するに、「オンラインプレイはレーティング対象外です」という意味になります。例えばゲーム本編に汚い言葉が出てこないとしても、オンラインで他のプレイヤーとチャットをしている時には、「Fuck you!」などと暴言を吐かれる可能性があります。また、オンラインでは、他のプレイヤーがゲームを改造して作った裸のキャラクターが出てきたりする可能性もあります。そういった自由度の高いオンラインモードは、明確なレーティングを付けることができないんですね。
上の二つの警告文はテキストファイルに含まれていることが多いのですが、特別な理由がない限り日本語に翻訳する必要はありません(最近では二つ目の警告文は見かけないですね)。



・テキストを英語のまま残す際の注意点

上で挙げた例のように、ゲーム翻訳では一部のテキストを英語のまま残すことも珍しくありません。しかし、その際に注意すべき事項が二点あります。

一点目は、同じボックス内(同じインターフェース内)で表示されるテキストはなるべく全て日本語か英語に統一した方がいい、ということです。これは単純に、ひとつのボックス内に英語と日本語が混在していると見栄えを損ねる場合があるからです。
例えば、メインメニューのボックスが以下のようになっているよりも、
MainMenuEngJap

以下のようになっている方が、(若干ですが)見栄えがいいと思いませんか?
MainMenuJap MainMenuEng
まあ、一つ目の画像のように英語と日本語が混在するメニューボックスも見たことがありますので、ユーザーが気にするほどの違和感はないのかと思われます。


続いて二点目は、必要に応じて英語を他の英語に置き換える、ということです。
例えば、オプションメニューを英語表記で統一するとして、オプションメニューの中に、以下のような「Statistics」(「統計」)という項目があるとします(洋ゲーでは結構お目にかかります↓)。
Stats2 Stats1
「Statistics」とは、プレイ時間や戦闘回数、アイテム回収率といった、ゲームプレイに関する統計を見られる画面のことです。
しかし、いかんせん「Statistics」という英語は私たち日本人には馴染みのない言葉ですよね。ですので、そういった英語は「Play Data」や「Play Record」など、日本人ユーザーにとって分かりやすい他の英語に置き換えてしまうのも一つの手です。日本語版として日本で販売する以上、ターゲットユーザーは日本人ですので、ネイティブから見て多少不自然な英語だとしても、日本人ユーザーにとっての分かりやすさを尊重した方がいい場合もあります。
ただし、スポーツやミリタリーなどの専門用語の場合は、馴染みのない英語でもそのまま使うべきでしょう。下手にそういった英語を他の英語に置き換えると、その分野のコアなファンに不満を与えてしまう可能性もあります。

英語を他の英語に置き換える例として、以下のようなケースがあります。

・Leaderboard(ランキング表)→Rankingなど
「順位」を表す「Position(Pos.)」も、「Ranking(Rank)」とした方が分かりやすくなるでしょう。(「位置」の意の「ポジション」と紛らわしいからです)

・Choose→Select
何かを「選ぶ」というとき、英語のゲームでは「choose」を使うことが多いのですが、日本のゲームでは圧倒的に「セレクト」(select)を使うことが多いと思います。

・Done→OK、End
名前入力やパスワード入力の画面で、「入力を完了する」という意味で「Done」が使われる場合がありますが、日本人にとってこの意味の「Done」はあまり馴染みがないですよね。
Done2 Done1

・Continue(次に進む)→Next、OK
海外ゲームでは、「次の画面に進む」という意味で「Continue」という英語がよく使われますが、「コンティニュー」は日本人ユーザーにとっては「途中からやり直す」という意味の方が一般的です。

・イギリス式スペル→アメリカ式スペル
英単語の中には、イギリス英語とアメリカ英語でスペルが違うものがあります(「Centre/Center」や「Colour/Color」)。開発元がイギリスのスタジオである場合、原文でイギリス式のスペルが使われていることも多いです。日本人にとってはアメリカ式のスペルの方が馴染みがあるので、原文をそのままコピペする際はアメリカ式のスペルに直しておくといいでしょう。



翻訳という仕事をする上では、つい全てのテキストをきれいに日本語化したくなってしまうものです。 実際、海外ゲームの日本語版をプレイしてみると、英語のままの方が自然に見えるテキストなのに日本語に翻訳されているケースを見かけることがあります。
日本のゲームをプレイする際に、「どのようなインゲームテキストが英語で表示されているか」、「対象年齢が低い(高い)ゲームではどれくらい英語が使われているか」といったことを意識してみるといいと思います。

…とはいうものの、「このテキストが日本語に翻訳されてるせいで雰囲気が壊れた!」や、「ここが英語のままだと分かりにくい」といったユーザーの声は、今までほとんど聞いたことがありません。ですので、どのテキストを英語のまま残すかに関しては、そこまで神経質になる必要はないと思います。ディテールにこだわる場合のみ、考えてみるといいでしょう。



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ゲーム翻訳 3 ~IDからコンテキストをつかむ~

<各テキストの文脈を推測する方法>

ゲーム翻訳では、テキストファイルの中から各テキストの文脈を推測しながら訳していかなければならないことが、多かれ少なかれあります。そして、各テキストの文脈を推測するためには、前回にちょこっとだけ触れたテキストのIDが足掛かりとなる場合があります。
今回は、そんなテキストIDについてもう少し踏み込んで説明し、テキストの文脈を読み取る方法について考えていきたいと思います。


・ゲームのオリジナル版はプレイできる?

まず最初に申し上げておきたいのですが、インゲームテキストの翻訳をする際、そのゲームのオリジナル版(英語なら英語版)をプレイできるか否かによって、翻訳作業にかかる手間が大きく変わってきます。 詳しくは後述しますが、これは、オリジナル版をプレイできるのであれば各テキストの文脈が正確に把握できるからです。
オリジナル版が既に発売されている場合はローカライザーに直接、または翻訳会社を通じて依頼し、オリジナル版を手に入れるといいでしょう。それができない場合は自腹で買うことになるかもしれません(海外の通販サイトで買うことができます)。
しかし、例えオリジナル版がまだ発売されていないとしても、ローカライザーが開発途中のロム(アルファ版やベータ版)を持っているケースもあります。 そのため、まずは何らかの形でそのゲームのオリジナル版をプレイできるかどうか、ローカライザーに問い合わせてみるといいでしょう。

しかしオリジナル版も未発売、開発途中のロムも手に入らないという状態で翻訳作業に入る場合もあります。 これは開発元の方で、開発版ロムはまだ完成していないもののインゲームテキストならまとまっている、というケースがあるからです。そのような場合でも、スケジュールの都合でとりあえずインゲームテキストの翻訳だけ先行して進めてしまおう、とローカライザーが判断することもあるのです。
また、例え開発途中のロムが完成していたとしても、機材の数が足りなかったり機密保持の関係で、外部の翻訳者は開発途中のロムをプレイできない場合もあります。開発版のロムを製品版のハードでプレイできることは少なく、多くの場合、専用の開発機が必要となるからです。

つまり、まとめるとこういうことです↓

1. オリジナル版が既に発売されている
→ローカライザーから借りるか自腹で買うかして、完成版のゲームをプレイしながら翻訳をすることができる

2. オリジナル版は未発売だが、開発途中のロムは出来ている
→開発途中のゲームをプレイしながら翻訳することができる(機材の不足や機密保持の関係でできない場合も有り)

3. オリジナル版が未発売で開発途中のロムも出来ていない
テキストファイルのみを見て翻訳しなければならない


・ゲーム翻訳の難敵は短いテキスト

開発途中のロムや製品版のロムをプレイすることができない場合(上記3のような場合)、翻訳作業が非常に大変なものになります。これは、各テキストの文脈を把握するのがとても難しくなるからです。
そして、そのような場合、キャラクターのセリフのような長いテキストよりも、むしろインターフェース周りで使われるような短いテキストの方が翻訳をする上で厄介であること多いです。これは、短いテキストだと、ゲーム中のどんな場面で表示されるのかがより想像しにくくなるからです。

例えばテキストファイル中に以下のようなテキストがあるとします。

It is 100 dollars per night. Are you going to stay?
(一晩100ドルです。泊まっていきますか?)

RPGをプレイする人なら、これが宿屋の店主のセリフだとすぐに気がつくはずです。このようなテキストは実際にゲームをプレイしなくても、テキストだけを見てすぐに翻訳することが可能です。キャラクターの性別が分からない場合でも、とりあえず敬語に翻訳しておけば問題はないでしょう。

しかしインゲームテキストの中には、次のようなたった1ワードのものも珍しくありません。

Enter

このテキストだけを見ても、どう翻訳していいか分かりませんよね。
部屋などに「入る」という意味で使われるのかもしれませんし、
名前やパスワードを「入力する」という意味で使われるのかもしれませんし、
PCゲームだったら、「Enterキー」のことを指している可能性もあります。


・テキストのIDを見る

上のような場合に役立つのが、前回ちょこっとだけ説明した、テキストファイルの中に含まれるテキストIDなんです。
上の「Enter」のように、ゲーム中のどのような場面で使われるテキストなのかが一見して分からない場合、まずはファイルの中でそのテキストのIDを確認します。
上の「Enter」の場合、
IDが「Online_Lobby_Enter」のようになっていれば、表示箇所がオンラインロビーであることが分かりますので、ロビーに「入室する」という意味だなと見当をつけることができます。
IDが「Player_Name_Entry」のようになっていれば、名前入力画面で文字を「入力する」という意味で使われることが想像できますし、
IDが「PC_Keyboard_Enter」のようになっていれば、キーボードの「Enterキー」を指しているテキストであることが分かります。

テキストファイルだけを見て翻訳作業を進める場合、このようにテキストのIDからコンテキストを読み取りながら翻訳をする必要が出てくるのです。

また、IDからは、そのテキストが「どんな場面で表示されるのか」だけではなく、「どのように表示されるのか」が分かる場合もあります。例えば、私が今まで多く見かけてきたIDとして、以下のような「Title」「Body」の組み合わせがあります。

      ID                  原文
DELETE_DATA_TITLE         Delete Game Data
DELETE_DATA_BODY        Are you sure you want to delete this game data?
                      (このゲームデータを削除してもよろしいですか?)

まずIDの最初の2ワードが「DELETE_DATA」になっているので、これら二つの原文が「データ削除」に関連するテキストであることが分かります。
そしてIDの3ワード目を見ると「TITLE」と「BODY」に分かれています。多くの場合、この「TITLE」と「BODY」は「見出し」と「本文」を表しています。ちなみに、「Title」は「Header」などのワードで表されることもあり、「Body」は「Descrption」などと表されることもあります(その辺りの言い回しは開発元によって様々です)。
つまり、実際のゲーム中では以下のように表示されるということです。

TitleBody

上の見出しのテキスト(Delete Game Data)は、一見一つのセンテンスになっているように見えるため、「ゲームデータを削除する」や「ゲームデータを削除してください」などと翻訳したくなるかもしれません(まあ、さして違和感はありませんが)。
しかし見出しである以上、「ゲームデータの削除」や「ゲームデータ削除」といった具合に名詞形で翻訳する方が適切でしょう。 上の例のように各単語のイニシャルが大文字になっていたり、最後にピリオド(.)が付いていない場合、一見ちゃんとしたセンテンスになっているように見えても、実際は見出しであることも多いです。

さらに、テキストファイル中に以下のようなテキストがあるとします。

      ID                  原文
DELETE_DATA_OPTION1          Yes
DELETE_DATA_OPTION2          No

IDが「OPTION」となっていますので(「ITEM」などと表される場合もあります)、これらの原文がこの画面におけるプレイヤーの「選択肢」であることが想像できます。
つまり、全てまとめると以下のように表示されるということです。

TitleBodyYesNo

ゲーム翻訳では、このように各テキストがゲーム中のどのような場面でどのように用いられるのかを、テキストのIDから推測していく必要があるのです。

・テキストファイルは開発会社によって全然違う

前述の通り、IDにどんなワードを用いるかは、開発会社によって様々です。中にはIDが数字だけなんていうひどいケースもありました。しかしほとんどの場合は、ゲーム中での表示箇所や表示方法に関する情報が、テキストファイルのどこかに含まれています。
テキストファイルを受け取ったら、まずは全ての列をよく確認し、どんな情報が含まれているのかを把握しておくようにしましょう。



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