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英語版『ドラクエヒーローズ』 面白翻訳ピックアップ

先週、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』が欧米で発売されました。北米版が2015年10月13日発売。欧州版が2015年10月16日発売。オリジナルの日本版が2015年2月26日発売であったため、それから約8カ月間かけてようやく欧米で日の目を見たということになります。


Dragon-Quest-Heroes.jpg
http://dragonquest-game.com/heroes/


『ドラクエ』シリーズといえば、いわずと知れた日本の国民的RPG。その『ドラクエ』作品が海外にローカライズされる際、創意工夫に富んだ翻訳スタイルが採られることが過去に何度もありました。ゲームメディア『AUTOMATON』でコラムを書かせていただいたことがありますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。


「英語版『ドラクエ』、地域方言を活かしたローカライズの妙味」


今回の『ドラクエヒーローズ』はナンバーシリーズではなくスピンオフ作品とはいえ、その英語ローカライズの質には自然と管理人の期待が高まってしまいます。そしてその結果はといいますと、やはり本作でも期待を裏切らない興味深い翻訳が数多く見受けられました。このエントリーでは、英語版『ドラクエヒーローズ』で見かけた特筆すべき英訳をピックアップしたいと思います!





■まるでラップ音楽!? 韻を踏んでいくスタイル

本作の英訳が持つ最大の特徴は、とにかくさまざまな箇所で韻を踏んでいることです。頭文字を特定のアルファベットでそろえる「頭韻」や末尾を特定の音でそろえる「脚韻」などのライム(Rhyme)が、本作の英語テキストにはこれでもかというほど盛り込まれています。英語版で独自に韻を踏むというスタイル自体は、スーパーファミコンの『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』など古くから存在する手法ではあります。しかし『ドラクエヒーローズ』ほど徹底的に韻を踏んでいる英訳というのは、管理人は初めてお目にかかるかもしれません。



▼二種類の操作方法
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日:かんたん操作、ガッツリ操作
英:Quick Controls、Slick Controls (簡単な操作、洗練された操作)

ゲームを始めて真っ先に目にするライムはこれではないでしょうか。本作では二種類の操作方法が用意されており、プレイヤーは好みに合わせていずれかを選択することが可能です。「かんたん操作」は少ないボタンの組み合わせでアクションを楽しむモード。「ガッツリ操作」はすべてのアクションを手動で操作するモード。英語版ではこれらが、「Quick Controls」、「Slick Controls」と訳されました。「~ick Controls」で韻を踏んでいますね。




▼発明家の団体
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日:魔法研究所の所長 ジュリエッタよ
英:I'm Isla, head of the Institute of Ingenuity. (発明研究所の所長、アイラよ)

ジュリエッタ(英語版では「アイラ」)の初登場シーン。日本版では彼女が所長を務める組織の名は「魔法研究所」でしたが、英語版では「Institute of Ingenuity」と訳されました。「Ingenuity」は「創意工夫」や「発明の才」といった意味です。頭を「In」でそろえて、まさに「In」(韻)を踏んでいますね! ……え、つまんない?




▼MAXハイテンション
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日:ハイテンション持続+2秒
英:Tension Extension. (テンション・エクステンション)

ハイテンションの持続時間を増やすスキルの名称です。英語版の方は末尾を「テンション」でそろえて韻を踏んでいます。「Extension」は「拡張」を意味する名詞。ご存知の方も多いと思いますが、付け毛を表す「エクステ」という言葉はこの「Extension」の略ですね。




▼星より明るくスリーエス
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日:灼熱火炎斬強化
英:Searing Slash Strengthener.

主人公のひとりアクト(英語版では「ルーシャス」)は、炎をまとった剣で周囲をなぎ払う「灼熱火炎斬」という特技を持っています。それをさらに強化するスキルがこの「灼熱火炎斬強化」です。英語版の方も意味するところは同じですが、三つの単語の頭文字を「S」できれいにそろえてオシャレな空気を醸し出していますね。




▼シリーズお馴染みの酒場
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日:ここは ルイーダの酒場。
英:Welcome to Patty's Place. (ようこそ、「パティーの店」へ)

本作ではいやに妖艶な雰囲気を放っているルイーダ姉さんの酒場。英語版での「ルイーダ」の名称は「Patty」(パティー)。「パーティー」とかけています。「ルイーダの酒場」はここでは「Patty's Place」と訳されていますが、正式名称はもう少々長くて「Patty's Party Planning Place」(パティーのパーティー編成所)というもの。頭文字がきれいに「P」でそろっています。さらにいうと、「Pa」、「Pa」、「Pla」、「Pla」とリズミカルなそろえ方をしていますね。


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▼「光の者」と「夜の者」
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日:祭壇は 光の一族と 闇の一族のみが 立ち入れる聖域。
英:This altar is a thing most sacred. Only the Children of Night and Light may approach it. (この祭壇は極めて神聖な場所。夜の子と光の子だけが近づくことを許される)

本作では「光」と「闇」というキーワードが登場しますが、英語版ではそれぞれ、「Light」、「Night」と訳されています。「闇」を「Darkness」と直訳せず、「Light」と韻を踏むため「Night」と訳したところにセンスを感じますね。本編最終章のタイトルである「光と闇の決戦」も、英語版では「The Light vs The Night」と、さらにカッコよく命名されています。


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▼エルフ一族の伝承
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日:光は 闇を照らし 悪しきものを清めるチカラ
英:The light shall make the midnight bright, and drive all darkness from our sight... (光は夜を照らし、そしてすべての闇を我らの視界より追放せん)

エルフの村長が話す古くからの言い伝えです。「light」、「midnight」、「bright」、「sight」と、末尾が「ight」で終わる単語を四つそろえて韻を踏んでいます。本作で管理人がナンバーワンの名訳に推したい文章です。お見事!




▼ゼシカと張り合うマーニャ
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日:あら! あたしには それに加えて 踊りがあるわ! どんな男も クギづけよ!
英:Don't be silly - my hips win every time! One wiggle of these bad boys is enough to turn any boy bad! (バカ言わないで。あたしのお尻が圧勝よ! このバッドボーイをひとたび振れば、どんなボーイもバッドになるわ!)

ゼシカとマーニャはともに、魔法が得意で美人でナイスバディ。「二人はいい勝負」だと言われた際のマーニャの台詞です。自分のお尻を「バッドボーイ」と言い表し、それを振るとどんな「ボーイ」「バッド」になる、と、そのように言っています(笑)。『ドラクエIV』のモンバーバラで踊っていた時も、確かに観客はみなバッドボーイと化していましたね。もしかしたらキングレオ王が暗黒面に堕ちたのもマーニャの踊りを見たから……?






■その他、注目の英訳

英語版『ドラクエヒーローズ』では、韻を踏んでいるもの以外にも興味深い英訳がいくつもありました。ほんの一部ですが紹介したいと思います。




▼ギガンテス襲来
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日:コートルダ奪還目前!
英:On the shoulders of Giants (巨人の肩の上で)

『ドラクエ』シリーズの強敵「ギガンテス」が初登場するシナリオのタイトルです。日本版ではストーリーに焦点を当てていますが、英語版の方はギガンテスの出現を示唆するシナリオ名になっています。実際にギガンテスの肩の上で何かをするわけではなく、この章名は科学者アイザック・ニュートンの言葉からの引用です。ニュートンが科学研究においてはるか先を見渡せたのは、巨人の肩の上に乗っていたから。つまり、コペルニクスやガリレオといった偉大な先人たちが積み重ねた発見のおかげである、と、そのような意図でもって使われたフレーズであるとのことです。このシナリオではギガンテスのほかにも、『ドラクエIV』からアリーナとクリフトが初登場します。もしかしたら、この『ドラクエヒーローズ』が誕生したのもそうした歴代の名作あってこその結果である、というメッセージが込められているのかもしれません。考えすぎかもしれませんが。




▼だいまじん襲来
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日:大聖堂にたたずむ巨像
英:The Statuesque Sanctum (荘厳なる聖堂)

こちらも類似の英訳です。だいまじんが登場するシナリオのタイトルが「The Statuesque Sanctum」と訳されました。この「Statuesque」は、文字どおり「彫像のような」という意味と、そこから転じて「(彫像のように)威厳のある」という二種類の意味を併せ持つ形容詞です。このシナリオでだいまじんが現れることと、舞台となる聖堂が壮大で立派な雰囲気であることの両方を「Statuesque」に込めているわけですね。なお、頭文字を「S」でそろえて韻を踏んでいます。




▼挑戦者 現る!
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日:モンスター軍 最後の猛攻!
英:Here comes the last wave! (最後の一波が押し寄せてくる!)

毎シナリオ恒例のイベントです。敵軍を追い詰めると画面に「モンスター軍 最後の猛攻!」といういかにも無双シリーズらしいメッセージが表示され、文字どおり敵が猛アタックを仕掛けてきます。英語版では「Here comes the last wave!」と訳されました。「Here comes」で始まるテキストが画面にデカデカと表示されるとどうしてもこれ(↓)を連想してしまいますが、おそらく意識したわけではないでしょう。


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▼ホミロンの口癖 その1
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日:うんうん! これで戦い方は カンペキだねっ!
英:Gooreat work! You're a slooper-dooper fighting machine! (よく頑張ったね! これでキミも超強い格闘マシンだ!)

最初のチュートリアルをこなした際に、ホイミスライムの「ホミロン」(英語版では「Healix」)からかけてもらえる褒め言葉です。冒頭の「Gooreat」というのは、「Great」のホイミスライム語ホミロンは「Goo」を口癖としており、「行く」の意味の「Go」を「Goo」と言ったり、「Great」を「Gooreat」と言ったりします。これはニンテンドーDS版『ドラクエIV』で「ホイミン」も使っていた口癖です。英語版におけるホイミスライム語として本作でもきちんと踏襲しているわけですね。


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▼ホミロンの口癖 その2
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日:パパにもらった 宝物なんだから!
英:My daddy gave it to me the last slime I ever saw him! (パパと最後に会った時にもらったものなんだから!)

ホミロンの面白い口癖をもうひとつ。これは、エルフの族長がホミロンの頭にある「光の腕輪」に手を触れようとした時の台詞です。後半の「the last slime I ever saw」の部分ですが、一見すると「最後に会ったスライム」と解釈したくなりますよね。しかしそんなワケがありません。父親と離別してからもホミロンはさまざまなスライムと会ってきたはずです。そう。実はホミロンには「Time」を「Slime」と言い換えるというユーモラスな口癖もあるのです(笑)。もちろんスライムのことも「Slime」と言うので少々紛らわしいですが、こうした、キャラクターの個性を強化しようという試みは同じゲームローカライザーとして見習わなければなりませんね。




▼シリーズ愛を感じさせる英訳
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日:魔物が近づいてきたら 一方が飛び出して 魔物を蹴散らす。
英:When the enemy draw near, one of us will meet their advance, and launch a counteroffensive. (魔物が近づいてきたら、一方がその前方に出て反撃を繰り出す)

アクトの戦略説明。「いつもの長いやつ」です。英語版の方は特段飾り気のない直訳に見えますが、注目すべきは「近づく」という意味の「draw near」です。この「draw near」はファミコン版初代『ドラクエ』で敵が出現した際に表示されるメッセージ。欧米のドラクエファンの間で最も有名なフレーズでもあります。初代以降しばらくの間使用されず「appear」に置き換えられていましたが、ニンテンドーDS用のリメイク版など比較的新しい作品では一部の戦闘でのみ「draw near」が復活を果たしたりもしていました。本作でも要所要所でこのフレーズが出てくるため、昔からのファンに対するサービスとして意図的に盛り込んでいると考えられます。


DQH_Draw Near





▼さよならは言わない
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日:今生の別れってわけでも ないんだし。
英:It's "see you soon", not "farewell"! (「またね」であって、「さようなら」ではないわ)

エンディングでのマーニャの名台詞です。世界に平和が戻り、マーニャ、ビアンカ、テリーといった歴代キャラクターたちはみな元の世界に帰らなければなりません。別れを惜しんで悲しみに暮れる主人公一行を元気づけるため、マーニャが「きっとまた会えるわ」と前向きに言います。単語はどれもシンプルですが、とてもステキな言葉ですね。原文を凌駕しているといっても過言ではないでしょう。まさかマーニャの台詞で涙腺が緩む日が来るとは……。





英語版『ドラクエヒーローズ』の翻訳紹介は以上となります。

欧米における『ドラクエ』シリーズは日本と比べ影が薄い存在であり、本作もそれほど注目されているわけではなさそうです。しかしそれでも欧米のゲーマーができるだけ楽しめるようにと工夫を凝らした翻訳をする姿勢は敬服に値します。英語版の翻訳会社としてクレジットされているのはローカライズサービス会社の「Shloc Ltd.」さん。スクウェア・エニックス社との間でどのような業務分掌が設定されていたかは不明ですが、とにかくこの「Shloc Ltd.」さんには今後要注目でしょうかね!


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ここで取り上げた以外にも、面白い英訳はまだまだ数多く存在すると思いますので、英語版『ドラクエヒーローズ』で何か良訳を発見したらぜひ教えてください!

ではでは。
 
 
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『ハースストーン』の日本語ローカライズを、現在出ている情報から考察

【注】
このエントリーは、2015年10月5日までに公開された情報をもとにして書いております。

【追記】 2015年10月24日
日本語版を実際に遊んでみた感想を本エントリー最下部に追記しました。




こんにちは。管理人の羽無エラーです。

先週末、ブリザード社の『Hearthstone: Heroes of Warcraft』(以下『ハースストーン』)の日本語版リリースが電撃発表され、ゲーマー界隈でちょっとした話題となっています。


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「Hearthstone」の日本語版が発表。10月中にサービス開始予定で,インタフェースはもちろんキャラクターボイスも日本語に


本作はこれまで日本化されていなかったため、英語アレルギーのあるゲーマーにとっては少々手が出しづらいシロモノでした。実際、管理人の周りにも、触れてはみたものの英語が読めないので早々に戦線離脱した、という知人が複数います。今回の日本語化を契機にハードルが格段に下がり、日本人プレイヤーが倍増することは間違いありません。しかもベテラン声優を起用してボイスをフルローカライズするという徹底ぶりも大変素晴らしい。基本的には、日本語化のニュースが日本人ゲーマーにとって朗報であることは確かです。

しかしネット上でこの報道への反応を見るに、必ずしも諸手をあげて大歓迎する人ばかりではなさそうです。すでに日本語版のスクリーンショットや動画がいくつか公開されているのですが、それらを眺めて、「何だか日本語がダサいような…」という声がいくつも挙がっているのです。そういった意見はあくまで一部ではあるものの、決して無視できるほど少なくはありません。一体どういった部分が違和感を生み出しているのでしょうか。




■違和感の種類
洋ゲーの日本語版において「日本語がダサい」というのは、大きく分けると以下の三つに分類できると思います。

① 日本語化されていること自体に違和感を覚える
② 日本語のフォントに違和感を覚える
③ 日本語のワーディングに違和感を覚える

①に関しては、もうどうしようもありません。日本語版を遊んで慣れるほかないでしょう。逆にいえば、時間が解決してくれる問題ではあります。

また、②のような意見も多少見受けられますが、これについては実際に日本語版を遊んでから判断したいと思います。管理人自身、フォントに対する知識が浅いことから、現在公開されている画像/動画を見ただけでは何ともいえません。より良いフォントを提案するというのも現段階では難しいです。

一方、③については、管理人も確かに少々思うところがあります。簡単にですが説明しましょう。




■漢字が多いのでは?
現在公開されている日本語版の画像/動画を見たところ、カタカナ(もしくは英語)のままで良い単語まで一部漢字になっているように思えます。例えばですが、本作ではミニオンカードが持つ特殊効果に、「Charge」、「Battlecry」、「Stealth」などがありますが、現状ではそれぞれ、「突撃」、「雄叫び」、「隠れ身」と訳されているようです。


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※カードのキャプチャ画像は「HearthStone Read2Win」さんより転載。
※特殊効果の和訳については、アスキー社の記事に詳細が記載されています。


好みの問題でもありますが、これらはそのままカタカナ表記で、「チャージ」、「バトルクライ」、「ステルス」とした方が英語版の雰囲気を残せるのではないでしょうか。あるいはアルファベットのまま残してしまっても問題ないかもしれません。

同じ洋物カードゲームということで、どうしても『マジック:ザ・ギャザリング』と比較してしまうのですが、『マジック』の場合は、「パワー」、「タフネス」、「アーティファクト」、「トランプル」、「ソーサリー」などなど、ゲーム内キーワードの多くがカタカナ表記となっています。原文の雰囲気を損なわないための策でしょう。または、カタカナ表記になっている方が外国人プレイヤーとのコミュニケーションが取りやすいから、や、英語版カードを購入したプレイヤーが用語を照合しやすいから、などプレイヤーの利便性に配慮しているとも考えられます。日本で開発された、例えばブシロード系のカードゲームなどでも、ゲーム内用語には割と横文字が多く含まれている印象です。
【追記】
この部分に関してですが、「『マジック』でカタカナ表記されているのは基本的に初期の用語であり、その後に追加された用語は主に日本語化されている」という情報を目にしました(裏取りはまだです)。そのような、ゲーム内用語を日本語化するというトレンドがあるのなら、『ハースストーン』もその時流に乗っていると考えることもできますね。


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『ハースストーン』で特に管理人が気になったのは、ゲームモードのひとつ「酒場の喧嘩」です。原文は「Tavern Brawl」であるため翻訳としては正しいし、あくまで単体で見ればこれはこれで味わいがあるのですが。ほかのゲームモード名がすべてカタカナ表記になっているため、統一感という点においては浮いてしまいます。ここはカタカナで統一し「タバーン・ブロール」で良いのではないでしょうか。さらにいえば、モード名すべて英語のままでも問題ないと思います。「酒場の喧嘩」としたところで、字面の意味は伝わってもモードの内容は結局説明を読まなければ想像できませんしね。

漢字とカタカナでは、読み手に与えるイメージが大きく異なってきます。カタカナが多すぎても、いわゆる「宇宙人語」や「ルー語」が出来上がってしまうためさじ加減が難しいところではあるのですが。『ハースストーン』はすでに英語版を遊んでいる日本人プレイヤーが多く存在するため、ゲーム内用語に漢字をあてればあてるほど違和感が膨れ上がっていくのではないかと思いました。


HS101_800x401.jpg
http://app.famitsu.com/20151003_577744/





■二人称の「君」(きみ)
前述の「漢字」に関してはまだ好みが分かれる要素だと思いますし、日本語版を遊んでいくうちに慣れていき違和感が払拭されるとも思います。が、二人称の「君」だけは、たとえ英語版を遊んだことがなくとも場違いな印象を受けるのではないでしょうか。

HS105_800x401.jpg
※視認しづらいですが、カードの説明文でプレイヤーのことを「君」と呼んでいます。


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http://www.nicovideo.jp/watch/sm27296202
※「君のターン」


カードゲームの説明文やルールブックというのは本来客観的に提示されるものです。二人称が「君」だと、少々軽いといいますか、ゲームとプレイヤーとの距離が近すぎるといいますか。もともとそういったコンセプトの作品なら構いませんが、悪い言い方をすると稚拙な印象すら受けます。『マジック』ではプレイヤーのことを「あなた」と呼んでいますし、対象年齢が低めの『遊戯王カード』ですら「自分」です。


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ただし、日本語版『ハースストーン』の画像や動画をもっと探してみると、「君」ではなく「自分」と書かれているカードも存在します。まだ翻訳が完了しておらず統一されていないだけかもしれません。それに、たとえ現状は「君」であったとしても、サービスイン後のアップデートで「自分」の方に統一される可能性もあります。これについては続報に期待したいところです。


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■原因は、表示できる文字数が少ないから?
漢字が多めであったり、プレイヤーのことを「君」と呼んでいたりするのには、ひとつ根本的な理由が考えられます。それは表示可能な文字数が少ないことです。

日本語版のカード画像をいくつか見ると、どうやら全体の文字数によってフォントサイズが変化する可変式をとっているようです。例えば下の二枚のカード説明文では、左の「ヴァリアン・リン」の方が文字の総数が多いため、右の「ネファリアン」よりも説明文のフォントサイズが小さくなっています。


jpnvar01.png jpnef01.png

カードによって説明文のフォントサイズが異なり、ものによっては文字が異様に大きかったりもします。特に、上に掲載した「魔法使いの弟子」のように、説明文の文字サイズがカード名を上回っているというのはカードゲームとして珍しいでしょう。そのため、冒頭で述べた「フォントの違和感」の正体が実はこれだったという方も案外いるのではないかと思っています。

文字サイズが自動で調節されるのなら何文字でも表示できるじゃないか!と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。本作はPCのみならずiOS/Androidにも対応しているため、スマホの小さな画面でも可読性を著しく落とさぬよう最低限のフォントサイズは保つ必要があります。上掲の「ヴァリアン・リン」くらいの文字サイズが限度ではないでしょうか。そう考えると、一行の文字数はせいぜい15文字前後。行数は4行まで。これは、カード説明文の表示領域としては狭い部類に入ると思われます。『マジック』や『遊戯王カード』と比較すると一目瞭然です。

文字数制限が厳しいと、表意文字的である「漢字」に依存せざるを得なくなります。漢字を使えば、雰囲気はさておき、少ない文字数で多くの意味を伝えることが可能であるからです。前述の「Tavern Brawl」も、「タバーン・ブロール」では表示領域からはみ出すか、もしくは文字サイズが他と比べて大幅に縮小されてしまうため、あえて「酒場の喧嘩」とした可能性があります。

また、『ハースストーン』がアップデートを伴う作品であるという点も、漢字への依存度を強める一因となってきます。本作では今後定期的に行われるであろうアップデートでどのようなカードが追加されるか翻訳者にも不明です。むやみにカタカナ訳を乱用すると、現状は何とか切り抜けたとしても、今後追加されるカードの説明文が長くなりすぎて読めなくなる、といった問題も起こり得るのです。漢字を比較的多用しているのは、どんなに長い説明文が来てもできるだけ文字数を節約するためだととらえることもできます。




■まとめ
結論として、日本語訳から違和感を完全に取り払おうと思っても、文字数の制約上なかなか思い通りに訳すのは難しいようにも思えます。「君」を「あなた」に変更するくらいは現行のシステムでも可能だと思いますが。まあそこは、サービスイン時やそれ以降のアップデートで日本語訳がどう変わっていくかに注目したいですね。

ただ、上述のような若干の違和感はあれど翻訳自体のクオリティは全体的に高いといえます。カードの説明文は、厳しい文字数制限の中とても分かりやすく訳されています。ボイスの翻訳も素晴らしい出来だと思います。

日本語版『ハースストーン』は2015年10月中にサービスイン予定とのことです。英語だからと敬遠していた方々は、これを機にぜひ遊んでみることをオススメします。

『ハースストーン』日本語版特設サイト


ではでは。


【追記】 2015年10月24日

言語を日本語設定にして遊んでみました。確かにフォントの見栄えは悪い箇所があります。一見、MS明朝/MSゴシックかと思うような、全体的にデフォルトチックなフォントであり、こだわりが感じられません。また、明らかにUIに溶け込んでおらず、無理やり張りつけたかのように見える日本語テキストもあります。そこはオンラインゲームということで、今後のアップデートに期待ですね。

和訳に関しては、初見では違和感が大きかったものの、遊んでいるうちに徐々に慣れてきました。「あんたが先手だ」など、確実に好みが分かれるテイストではありますが。宿屋でお酒を飲みながら仲間内でカードゲームをプレイしているような雰囲気が出ていて、私は好きかもしれません。この方向性で突き抜けてくれれば、それはそれで魅力的なのではないでしょうか


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