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ゲーム翻訳 14 ~ユーザーフレンドリーな翻訳~

<ユーザーフレンドリーな日本語テキストに翻訳する>


和ゲー、洋ゲー問わず、最近のゲームにはチュートリアルが必ずといっていいほど含まれています。
ゲームでいうチュートリアルとは、「ゲーム中のこういう場面ではこのように操作してください」という、基本的な操作方法やゲームシステムを、実際にゲームをプレイさせながら説明していくことを指します。その多くは説明書にも書かれている内容だったりしますが、説明書を全て読まずに遊び始めるユーザーが多いことや、文字で説明するよりも実際にゲーム中で説明した方が分かりやすいこと(「習うより慣れろ」の精神)から、ゲーム中にチュートリアルを入れてユーザーの便宜を図っているというわけです。

Tutorial


・海外ゲームには不親切なチュートリアルも多い

しかし、翻訳のためにゲームをプレイしていると、チュートリアルの中に「分かりにくいな」、「言葉足らずだな」と感じるテキストを見かけることがあります。 もちろんこれは海外ゲームに限った話ではありませんが、全体として海外ゲームの方が日本のゲームよりも不親切な部分が多いような気もします(日本のゲームが丁寧すぎるといった方が正しいでしょうか)。


ゲーム翻訳者として取るべきスタンス

インゲームテキストを翻訳する際に、そのような言葉足らずなチュートリアルテキストに出会ったら、どのように翻訳するべきなのでしょうか? 主に以下の二つのスタンスが考えられます。

① 言葉を補うなどして、英語原文よりもわかりやすい日本語に翻訳する
② あくまでも翻訳者として、原文の内容に忠実な日本語に翻訳する


もちろんケースバイケースですが、基本的には上記①のスタンスを取るべきであると考えます。 これは、日本語版をプレイするのは日本人ユーザーであるため、ゲームの仕様はなるべく日本人ユーザーにとってフレンドリーなものであるべきだからです。
海外ゲームの日本語版が制作される際、日本人ユーザーに対する配慮として日本語版だけ仕様が変わるということも珍しくはありません。例えば、PS2用ソフト『サイオプス』のオリジナル版では、エリアマップに自キャラの現在位置がアバウトにしか表示されていなかったものの、日本語版では詳細に現在位置を表示し、自キャラの向いている方向まで分かるように仕様変更されました↓(まさにローカライザーの鑑ですね

PsiOps

「日本人ユーザーにとって親切な仕様にする」というのは、インゲームテキストに関しても同様だと思っています。 日本語版のユーザーが目にするのは日本語に翻訳されたテキストのみであり、英語の原文なんて知ったこっちゃありません。「このゲームの日本語テキストは言葉足らずで不親切だ」と指摘された場合に、「原文がそうなっているんだから仕方ない」という言い訳は通用しないのです。そのため、「これを直訳すると、日本人ユーザーは不親切に感じるかもしれない」と思うテキストがあれば、言葉を補うなどしてなるべく分かりやすい日本語に翻訳するべきだと思います。

一つ例を挙げると、過去に私が翻訳したPC用アクションゲームの中に、以下のようなチュートリアルテキストが含まれていることがありました。

Type "recover" to heal your health at the first aid station.

これを直訳すると、「救急室で"recover"と打ち込むと、体力を回復することができます。」となりますが、実際にゲームをやってみると、このテキストが少々分かりにくいテキストであるように思えたのです。
具体的には、
①救急室の中ならどこでもいいわけではなく、テーブルの上にある救急用具入れの前で打ち込まなければならない
②一度体力を回復すると、同じ場所で「recover」と打ち込んでも二度と体力は回復しない
という仕様になっていたのです。そのため、より正確に説明するために、救急用具入れの前で「recover」と打ち込むと、一度だけ体力を回復することができます。」と、言葉を補って翻訳しました。


・日本人ユーザーに合わせた翻訳を

出版翻訳や産業翻訳の世界では、「原文から何も足さない、何も引かない」ことがよしとされる風潮があります。しかしゲーム翻訳では、上の例のように、時には原文から離れたり言葉を補ったりした方が良い場合もあります。基本的に、ゲーム翻訳者は、ただの翻訳者ではなく、ローカライザーの一員であるという自覚を持つべきだと思います。 ただの翻訳者であれば、あくまで原文に忠実な翻訳を心がけるべきかもしれませんが、ローカライザーとして翻訳作業にあたるからには、やはり日本語版ユーザーの目線に立った翻訳を心がけるべきだと考えます。

原文の意味を変えることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、上の例のような異訳は、誤訳だと指摘されることはまずありません。 実際、私は毎回、上の例のように言葉を補ったり省いたりしながらインゲームテキストの翻訳をしてきましたが、プロデューサーやディレクターなどはもちろん、ユーザーからも「これは誤訳だ」と指摘されたことは一度もありません。

ただし、クライアントの事情も様々であるため、時には、「スピードを重視するために直訳してくれ」や、「専門のライターに書き直させるから、意味が正確に伝わるように直訳してくれ」といった依頼をされる場合もあるようです。そのような場合はクライアントの要望に従い、原文に忠実な翻訳をすべきかもしれません。

また、「ユーザーフレンドリーなテキストか否かの判断が難しい」という人もいるかもしれません。実際、日本人ユーザーの目線に立って翻訳するというのは、一朝一夕で身につけられる能力ではないと思います。そのためには、やはり、普段から日本のゲームをプレイしてインゲームテキストに対する感性を磨いておくことが重要です。



ゲーム翻訳に関する他の記事はこちら→ゲーム翻訳の記事一覧
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コメント

No title
はじめまして。

基本的に仰ることには同意するのですが、ゲームの場合は、救急室の例のように具体的なことまで訳出するのは、ゲームを楽しむ上でよけいなお節介になったりはしないですか?

私はゲームはやらないので、今どきのゲーマーのニーズがどの程度かは分かりかねますが、仰っているのは少し前なら「攻略本」やらヒント集などで書かれていたことと思います。

つまり、ゲーム業界のビジネスとしてはクロスセルになる部分です。

親切に訳出することで、ゲーム攻略が速くなり、それ故に発売後もすぐに中古品が出回って新品が値崩れするという、昨今のゲーム業界の流れとも関係すると思うのですが?

nitecruiseさん
コメントありがとうございます!

「救急室~」の例は、攻略本やヒント集にのみ掲載されるべき内容ではなく、そのゲームをプレイする上で必ず知っておくべき基本的な情報だったんです。スーパーマリオで例えるなら、「ブロックを叩いてキノコを取ればマリオがパワーアップします!」というくらい、ユーザーにとって必要不可欠な情報でした(そのことをちゃんと書くべきでしたね…m(__)m)。もちろん説明書にも書いてありますし、わざわざ攻略本やヒント集で取り上げるような内容ではありません。
だから、それを丁寧に説明することによってゲームの難易度を不必要に下げたり、謎解きの楽しみを奪ったりすることはないはずです。むしろ、ちゃんと説明しないと叩かれる可能性すらあったと思います。


ただ、仰ることはよくわかります。
ゲーム業界にとってクロスセルになる部分、例えば隠しステージや隠しアイテムなどをわざわざネタバレしてしまうのは、行き過ぎたユーザーフレンドリー志向だと思います。目的はあくまで、「操作方法やゲームシステムをユーザーにわかりやすく伝えること」であり、「不必要な」ヒントを追加してゲームの難易度を下げるような翻訳は控えるべきでしょうね。その辺のさじ加減は必要だと思います。
No title
了解しました。分野はちがいますが、ユーザ=フレンドリーは大切なことだと思います。

翻訳という仕事の地位向上はローカライズなんだという意識、とても大切だと思いますので、今後も頑張ってください。
No title
始めました
今日本語->英語の翻訳者を志していますアメリカ人Chuckと申します。 

この興味深いブログが見つかったらは本当にありがたい!。

さて、悪い意味ではないがこの記事にはちょっと不思議なものがあります。
アメリカでは日本語の小説など(というより、日本人の全て発する言葉)に対して”言葉足らずだな、と頻繁に言われています。
言語学界で”日本語は曖昧で理解しがたいにひきかえ英語は明瞭(時にはくどいぐらい)だ” とはよく指摘されています。

なぜゲーム内の説明において逆の現象が見かけますでしょうか? 

いささか余談ですが、 僕の周りのアメリカ人は説明書どころかゲーム内説明すら無視してしまいます(極端な場合RPGとなると、台詞にいたっては。。)、 蓋しそれは一つの原因だろうか。。。

では 記事を書いてくれました、 ありがとうございます! 頑張ってくださいやみさん!
Re: No title
Chuckさん

はじめまして。
わざわざ日本語で書いてくれて、ありがとうございます!


「言語学界で”日本語は曖昧で理解しがたいにひきかえ英語は明瞭(時にはくどいぐらい)だ” とはよく指摘されています」

↑これは正しいと思います。
しかし私が「英語のゲームの説明文は言葉足らずなものが多い」と書いたのは、英語という言語そのもの(English language itself)についてではなく、あくまで「書いてある内容(actual contents of the explanation)」についてです。

Chuckさんは「いささか余談ですが、僕の周りのアメリカ人は説明書どころかゲーム内説明すら無視してしまいます」と書きましたが、これはまったく余談ではなく、大きな原因の一つだと私自身は考えています。
「欧米のゲームユーザー(特に子ども)は、説明書やゲーム内の文字をあまり読みたがらない」というのは日本のゲーム開発者の間でも有名な話です。アメリカで作られたゲーム内の説明文が短かったり不十分だったりするのは、長くて丁寧な説明文を入れるとユーザーが読んでくれない可能性があるからではないでしょうか。

日本語の意味が分からないところがあれば、またコメントしてください(^^)
If this reply has any point which meaning is not understandable for you, please indicate it :)

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