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ゲーム翻訳 15 ~取扱説明書の翻訳~

<ゲーム内テキスト以外のゲーム翻訳 その3>


今回は、取扱説明書の翻訳に関して少しだけ話をしたいと思います。
バグレポート翻訳ほどの需要はないと思いますが、説明書の翻訳もローカライズ工程の中に含まれることがあります。


・説明書は翻訳しないこともある

まず、海外ゲームの日本語版が製作される際、説明書は必ずしも翻訳されるとは限らず、翻訳されたとしてもそれがそのまま製品になるとは限りません。 これは、説明書の作成スタイルが日本と欧米で異なることが多いからです。
まず、日本のゲーム会社はデザイン性に富んだ説明書を作る傾向があります。スクリーンショットやイラストを多用し、レイアウトにもいろいろとこだわったりして、ユーザーが楽しく読めるような説明書を作るのです。
それに対し、欧米のゲーム会社はあまり説明書のデザインにこだわらない傾向があります。スクリーンショットやイラストは最小限にとどめ、文字だけで淡々と説明することが多いです。まあこれは、ゲームのボリュームが多いので仕方ない面もありますが…
要するに、日本のゲーム会社はなるべく絵で説明しようとするのに対し、欧米のゲーム会社は文字だけで説明する傾向があるのです。
このような傾向の違いは、PCゲームの説明書で特に顕著に現れます。おそらく、海外のPCゲームをよくプレイする人の中には、説明書を読んだだけでそのゲームがローカライズか純日本製かを見分けられる人も多いのではないでしょうか。
そのような違いがあるからか、海外ゲームの説明書は、日本のユーザーや開発者からは味気なくて読みにくいと感じられることが多いのです。そのため、オリジナル版の説明書をそのまま日本語化するのではなく、デザイナーの手で一から説明書を作り直すというケースも、特にコンシューマゲームでは珍しいことではありません。

とはいえ、PCゲームでは、オリジナル版の説明書をほとんど変えずにそのまま日本語化することもまだまだ多いです。また、中には、ローカライズ費を安く抑えるために、インゲームテキストは英語のままで説明書だけを日本語化するといったケースもあります。


・読みやすい日本語文章にすることを心がける

ゲームの説明書を翻訳する際に最も重要なことは、なるべく直訳調を避けて読みやすい日本語に翻訳することだと思っています。これは何故かといいますと、実際、直訳調で書かれた説明書に対して不満を唱えるユーザーが多いからです。ネットでローカライズタイトルのレビューを読むと、「説明書が意味不明だ」という意見を多く見かけます。個人的に、直訳調の日本語は妙な可愛らしさ(?)があって好きなんですが、多くのユーザーからは「読みづらい文章」の一言で片付けられてしまうことが多いんですね。

まず前述の通り、海外ゲームの説明書には絵があまり使われない傾向があります。また、特にPCゲームの場合、説明書のページ数が非常に多くなることも珍しくはありません。一般的なコンシューマゲームの説明書がだいたい数十ページほどであるのに対し、海外版のPCゲームの場合、中には150~200ページにわたるものも存在します。そのため、イラスト入りでページ数が少ない説明書に慣れている日本人にとっては、海外ゲームの説明書はただでさえ読むのが面倒なものが多いのです。ただでさえ読むのが面倒なのに、その上日本語が直訳調で読みづらいとあっては、読む気を無くすユーザーがいてもおかしくはないと思います。

例えば、リズムゲームの説明書で以下のような説明があるとします。

If you wish to beat your high scores and rank higher in the leaderboards, try hitting a ball with two of your sticks rather than just one to perform the Double Hitting.

これを直訳してみると、

ハイスコアを更新したりランキング表の順位を上げたかったら、ダブルタップを行うために、一本だけではなく二本のスティックで一つのボールを叩くことを心がけましょう。

といった具合になります。
この説明で言いたいことは、「一つのボールを二本のスティックで叩くとダブルタップとなり、高得点が入る」ということです。上の日本語でも十分意味は通じますが、少し硬い感じや、くどい感じがしますよね。この文章だけを読む場合はいいのですが、説明書が全ページにわたってこんな調子だと、だんだん読むのが苦痛になってくるユーザーがいるかもしれません。
そのため、以下のように翻訳して、もう少し自然な日本語にすると良いと思います。

「ハイスコアを更新したい」、「ランキング表のトップに上り詰めたい」と思ったら、一つのボールを二本のスティックで叩くダブルタップをマスターしよう!


翻訳を実務、出版、映像の三分野に分けた場合、説明書の翻訳は実務翻訳に含まれると思います。実務翻訳では、原文の意味を確実に伝えるために直訳するのが良しとされることがありますが、ゲームの説明書の翻訳の場合、それは当てはまりません。 何故なら、社内文書や取引先向けの文書などとは違い、ゲームの説明書を読むのはエンドユーザーだからです。エンドユーザーに読ませるからには、「意味が伝わればいいや」程度の日本語ではなく、読みやすさにもこだわるのがプロの仕事であると思います。


・ゲーム内容との整合性を取る

読みやすさの他にも、ゲームの説明書を翻訳する際に注意しなければならない点があります。それは、説明書に書かれている内容と実際のゲーム内容との間で整合性が取れているか、ということです。

まず、当たり前のことですが、キャラクター名やモード名といった固有名詞は、ゲーム内のものと同一でないとユーザーを混乱させてしまいます。PCゲームの説明書では、ゲーム内の呼称と説明書内の呼称が異なっていることもあれば、説明書内ですら呼称の統一が取れていないケースもあります。

もう一つ気をつけなければならないのは、説明書に書かれている内容が必ずしも正しいとは限らないという点です。これは海外ゲームに限った話ではないかもしれませんが、まれに説明書に書かれている内容が間違っていることがあるのです。

以前、説明書の翻訳をした際に、説明書に書かれていることの多くが実際のゲーム内容と矛盾していたことがあったのです。開発元にそのことを尋ねても、「よく分からない」と一蹴されたため、説明書に書かれている内容を、実際にゲームをプレイしながら一つ一つ確かめていくという、とてつもなく面倒な作業に直面することになったのです。ちなみに、そのゲームのオリジナル版は、説明書の内容が間違いだらけのまま出荷されることになりました(日本ではあり得ないですよね)。
そんな経験もあり、今では、説明書に書かれている内容の中で正しいかどうか確信が持てないものがあった場合、必ずゲームをプレイして確認するようにしています。


・説明書の翻訳のゴール

「説明書の日本語が分かりにくい」というのは、実はゲームに限った話ではなく、ローカライズ版のソフトウェア全般でしょっちゅう言われている意見です。最近のゲームではゲーム内チュートリアルが充実していることもあり、説明書を全て読むユーザーは少なくなっているかもしれません。しかしPCゲームなどの大ボリュームゲームでは、やはり全ての要素を把握するのに時間がかかるため、ユーザーが説明書を頼る機会も多いです。
説明書を翻訳する際は、ゲーム内容を正しく伝えるとともに、時間をかけずにスーッと読めるような日本語に翻訳することを心がけ、ユーザーが読んでいて苦痛に感じないような説明書に仕上げることを目標にするといいと思います。



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