最新記事


『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が販売開始! (06/17)

『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が登場予定! (02/04)

ゲーム英語辞典『Gaminglish(ゲーミングリッシュ)』作成中(最終更新日:2016/07/08) (12/31)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定② (12/13)

『MOTHER2』のローカライズ解説本が超面白い (12/10)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定① (11/23)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ② (11/03)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ① (10/23)

ポケモンGOのエイGOをゲットだぜ (07/26)

Netdecking 【ネットデッキング】 (07/08)

Hudson Bee 【ハチ助】 (06/28)

Faceroll 【フェイスロール】 (06/21)

Legal Loli 【合法ロリ】 (06/15)

Rage quit 【キレ落ち】 (05/02)

謹賀新年 (01/01)

米国人ゲーマーグループが選ぶ「史上最高のビデオゲーム200本」 (12/07)

RNG hates me 【乱数は俺を嫌っている】 (11/25)

OTK 【ワン・ターン・キル】 (11/24)

imba 【バランスが悪い】 (11/19)

Secondhand Market / Secondary Market 【中古市場】 (11/12)

総記事数:

ローカライズ? カルチャライズ? 翻訳? 各用語の使い分け

201405192354281e7_20150110192455f8f.png


こんにちは。管理人の羽無エラーです。

管理人は現在、洋ゲーを日本語化して日本で販売する、または国産ゲームの海外版対応を行う、という業務に従事しています。この仕事は「ローカライズ」と呼ばれています。このローカライズをするうえでは「翻訳」という作業が必須です。また、対象国の文化に合わせてコンテンツを追加ないし改変することを指す「カルチャライズ」なる用語も普及しつつあります。

この3種類の用語――「ローカライズ」、「カルチャライズ」、「翻訳」――を普段自分自身がどのように使い分けているか、あらためて振り返ってみました。特に「ローカライズ」は広範に及ぶ概念を含む用語であり、適切に使えているかどうか自信がない方もいるのではないでしょうか。そのような方はぜひご参考にしていただけると幸いです。


※あくまで管理人個人の定義です。コンテンツ産業以外での扱われ方や原義といったものは度外視しています。

※世界市場を意識したコンテンツ製作を指す「グローバリゼーション」なる用語もあります。が、ここでは触れません。



■ローカライズ(Localization)とは?

・元のバージョンとは別の対象地域に向けたパッケージを製作すること
・SKU(stock-keeping unit)の追加を伴う
・製作にかかわる全作業を含む包括的な用語
 ⇒必然的に、カルチャライズ作業と翻訳作業も「ローカライズ」に内包される
・原則として、コンテンツの改変を伴う
・対象地域の規則や法令に基づいた改変も含む

・また広義では、個々の改変を指して「ローカライズ」と表現するのもアリ
 ⇒「グラフィックのローカライズ」、「ジョークのローカライズ」など
  ⇒ただしそれは比喩的表現であり、あくまで第一義は「海外版パッケージを製作すること」



■カルチャライズ(Culturization)とは?

・対象地域の文化に合わせてコンテンツの一部(または全部)を改変すること
・規則や法令への準拠ではなく、対象地域で共有されている風習、知識、価値観などへの対応
・パロディーの参照先を変更することも含む
・「Culturalize」(カルチャラライズ)と綴る場合もある?



■翻訳(Translation)とは?

・言語を対象地域のものに置き換える作業
・あくまで「言語」の改変のみを指す
・描き文字の改変も含む




抽象的にいうとこんなところでしょうか。

管理人が勤めているゲーム会社で最もよく見られるのが、「ローカライズ=翻訳」という誤解です。翻訳はあくまでローカライズの一工程であるため、「翻訳はローカライズである」は成り立っても「ローカライズは翻訳である」は成り立たない、というのが管理人の考えです。「リンゴは果物である」は成立するけど「果物はリンゴである」は成立しない、というのと同じ理屈ですね。



次に、いくつか具体例を挙げ、それらが「ローカライズ」、「カルチャライズ」、「翻訳」のどれにあてはまるかを考えました(複数選択可)。



1. 北米版でオニギリをハンバーガーに描き変える

pokemonsubonigiriedit.jpg

○ローカライズである
○カルチャライズである
×翻訳である


⇒北米の食文化に合わせた改変




2. 北米版で黒人キャラクターの唇の厚みをなくす

popo_j1.jpg popo_e1.jpg

○ローカライズである
○カルチャライズである
×翻訳である


⇒多人種国家の文化に合わせた改変




3. 北米版で十字架を削除する

ducktales.gif

○ローカライズである
○カルチャライズである
×翻訳である


⇒宗教的描写の扱いに慎重な文化圏における改変




4. 北米版で右ハンドルから左ハンドルに変える

20090929103152a27_20150110192440496.jpg 200909291032061f5_20150110192454e4b.jpg

○ローカライズである
×カルチャライズである
×翻訳である


⇒交通制度に則った改変。カルチャライズとまではいえない


【追記】
後で読み返したところ、これは「カルチャライズ」に該当するように思えます。交通制度によってアニメの内容が改変されたわけではなく、あくまで「ハンドルは左側である」という文化・慣習に則った変更ですので。




5. 日本版でゴア表現を緩和する

192169-278792-1JPG-620x.jpg

○ローカライズである
×カルチャライズである
×翻訳である


⇒あくまでCERO対策。文化への適応とは異なる
 ⇒例えば、日本人は血を見ることを忌み嫌う、といった風習があるのであれば「カルチャライズ」とも呼べる




6. 中身は英語のまま、説明書のみ和訳して販売する

510frxvJJ8L.jpg

△ローカライズである
×カルチャライズである
○翻訳である


⇒コンテンツが改変されていないため「ローカライズ」と呼べるかは微妙




7. 日本版で吹き替え対応をする

rien_afureko2.jpg

○ローカライズである
×カルチャライズである
○翻訳である


⇒販売数を高めるための施策
⇒台本の和訳作業そのものは「翻訳」
⇒例えば、北米版ではハスキーでクールなボイスの女性声優だったが、日本版ではアニメ声優の萌え萌えな声をあてた ←これは一種のカルチャライズといえそう




8. 描き文字を変更する

Simon008bc.jpg Simon008eng.jpg

○ローカライズである
×カルチャライズである
○翻訳である


⇒描き文字も「言語」に含む




9. 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を『The Legend of Zelda: Ocarina of Time』という英題で販売する

51CXG48YTGL__SL500_AA300_.jpg 20150103011224!The_Legend_of_Zelda_Ocarina_of_Time_box_art.png

○ローカライズである
×カルチャライズである
○翻訳である


⇒原題に準拠した直訳  ※ここではいったん直訳も「翻訳」に含める




10. 『Donkey Kong Country』を『スーパードンキーコング』という邦題で販売する

img_0.jpg donkey-kong-country-snes-cover-front-eu-32727.jpg

○ローカライズである
×カルチャライズである
×翻訳である


⇒「翻訳」の範疇を超えている




11. 北米版に日本語を実装して(北米版として)販売する

×ローカライズである
×カルチャライズである
○翻訳である


⇒たとえ日本語が含まれていても「日本版」を製作していなければローカライズではない
 ⇒ただし公式に日本語対応を謳っているのであれば微妙なライン
⇒実際にこうした事例があるのかどうかは不明




以上です。

前述のとおりあくまで管理人個人はこう使い分けている、というだけの話です。実際、これらの用語はどれも非常に曖昧な部分があり、使う人によって定義はマチマチです。ローカライズに興味がある方は、自分なりの「ローカライズ」の定義(僕が考えた最強のローカライズ)を考えてみてはいかがでしょうか。

 
スポンサーサイト

☞ 関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


ブログパーツ