最新記事


『ウォーリーをさがせ!』の面白翻訳をさがせ! (09/09)

『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が販売開始! (06/17)

『レトロゲーム超翻訳セレクト』の英語版が登場予定! (02/04)

ゲーム英語辞典『Gaminglish(ゲーミングリッシュ)』作成中(最終更新日:2016/07/08) (12/31)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定② (12/13)

『MOTHER2』のローカライズ解説本が超面白い (12/10)

同人誌『レトロゲーム超翻訳セレクト』 再頒布予定① (11/23)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ② (11/03)

レトロゲーム同人イベント「ゲームレジェンド」にサークル参加予定 ① (10/23)

ポケモンGOのエイGOをゲットだぜ (07/26)

Netdecking 【ネットデッキング】 (07/08)

Hudson Bee 【ハチ助】 (06/28)

Faceroll 【フェイスロール】 (06/21)

Legal Loli 【合法ロリ】 (06/15)

Rage quit 【キレ落ち】 (05/02)

謹賀新年 (01/01)

米国人ゲーマーグループが選ぶ「史上最高のビデオゲーム200本」 (12/07)

RNG hates me 【乱数は俺を嫌っている】 (11/25)

OTK 【ワン・ターン・キル】 (11/24)

imba 【バランスが悪い】 (11/19)

総記事数:

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

英語版『ドラクエヒーローズ』 面白翻訳ピックアップ

先週、『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』が欧米で発売されました。北米版が2015年10月13日発売。欧州版が2015年10月16日発売。オリジナルの日本版が2015年2月26日発売であったため、それから約8カ月間かけてようやく欧米で日の目を見たということになります。


Dragon-Quest-Heroes.jpg
http://dragonquest-game.com/heroes/


『ドラクエ』シリーズといえば、いわずと知れた日本の国民的RPG。その『ドラクエ』作品が海外にローカライズされる際、創意工夫に富んだ翻訳スタイルが採られることが過去に何度もありました。ゲームメディア『AUTOMATON』でコラムを書かせていただいたことがありますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。


「英語版『ドラクエ』、地域方言を活かしたローカライズの妙味」


今回の『ドラクエヒーローズ』はナンバーシリーズではなくスピンオフ作品とはいえ、その英語ローカライズの質には自然と管理人の期待が高まってしまいます。そしてその結果はといいますと、やはり本作でも期待を裏切らない興味深い翻訳が数多く見受けられました。このエントリーでは、英語版『ドラクエヒーローズ』で見かけた特筆すべき英訳をピックアップしたいと思います!





■まるでラップ音楽!? 韻を踏んでいくスタイル

本作の英訳が持つ最大の特徴は、とにかくさまざまな箇所で韻を踏んでいることです。頭文字を特定のアルファベットでそろえる「頭韻」や末尾を特定の音でそろえる「脚韻」などのライム(Rhyme)が、本作の英語テキストにはこれでもかというほど盛り込まれています。英語版で独自に韻を踏むというスタイル自体は、スーパーファミコンの『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』など古くから存在する手法ではあります。しかし『ドラクエヒーローズ』ほど徹底的に韻を踏んでいる英訳というのは、管理人は初めてお目にかかるかもしれません。



▼二種類の操作方法
DQH_01.png
日:かんたん操作、ガッツリ操作
英:Quick Controls、Slick Controls (簡単な操作、洗練された操作)

ゲームを始めて真っ先に目にするライムはこれではないでしょうか。本作では二種類の操作方法が用意されており、プレイヤーは好みに合わせていずれかを選択することが可能です。「かんたん操作」は少ないボタンの組み合わせでアクションを楽しむモード。「ガッツリ操作」はすべてのアクションを手動で操作するモード。英語版ではこれらが、「Quick Controls」、「Slick Controls」と訳されました。「~ick Controls」で韻を踏んでいますね。




▼発明家の団体
DQH_02.png
日:魔法研究所の所長 ジュリエッタよ
英:I'm Isla, head of the Institute of Ingenuity. (発明研究所の所長、アイラよ)

ジュリエッタ(英語版では「アイラ」)の初登場シーン。日本版では彼女が所長を務める組織の名は「魔法研究所」でしたが、英語版では「Institute of Ingenuity」と訳されました。「Ingenuity」は「創意工夫」や「発明の才」といった意味です。頭を「In」でそろえて、まさに「In」(韻)を踏んでいますね! ……え、つまんない?




▼MAXハイテンション
DQH_03.png
日:ハイテンション持続+2秒
英:Tension Extension. (テンション・エクステンション)

ハイテンションの持続時間を増やすスキルの名称です。英語版の方は末尾を「テンション」でそろえて韻を踏んでいます。「Extension」は「拡張」を意味する名詞。ご存知の方も多いと思いますが、付け毛を表す「エクステ」という言葉はこの「Extension」の略ですね。




▼星より明るくスリーエス
DQH_04.png
日:灼熱火炎斬強化
英:Searing Slash Strengthener.

主人公のひとりアクト(英語版では「ルーシャス」)は、炎をまとった剣で周囲をなぎ払う「灼熱火炎斬」という特技を持っています。それをさらに強化するスキルがこの「灼熱火炎斬強化」です。英語版の方も意味するところは同じですが、三つの単語の頭文字を「S」できれいにそろえてオシャレな空気を醸し出していますね。




▼シリーズお馴染みの酒場
DQH_05.png
日:ここは ルイーダの酒場。
英:Welcome to Patty's Place. (ようこそ、「パティーの店」へ)

本作ではいやに妖艶な雰囲気を放っているルイーダ姉さんの酒場。英語版での「ルイーダ」の名称は「Patty」(パティー)。「パーティー」とかけています。「ルイーダの酒場」はここでは「Patty's Place」と訳されていますが、正式名称はもう少々長くて「Patty's Party Planning Place」(パティーのパーティー編成所)というもの。頭文字がきれいに「P」でそろっています。さらにいうと、「Pa」、「Pa」、「Pla」、「Pla」とリズミカルなそろえ方をしていますね。


DQH_PPPP.png





▼「光の者」と「夜の者」
DQH_06.png
日:祭壇は 光の一族と 闇の一族のみが 立ち入れる聖域。
英:This altar is a thing most sacred. Only the Children of Night and Light may approach it. (この祭壇は極めて神聖な場所。夜の子と光の子だけが近づくことを許される)

本作では「光」と「闇」というキーワードが登場しますが、英語版ではそれぞれ、「Light」、「Night」と訳されています。「闇」を「Darkness」と直訳せず、「Light」と韻を踏むため「Night」と訳したところにセンスを感じますね。本編最終章のタイトルである「光と闇の決戦」も、英語版では「The Light vs The Night」と、さらにカッコよく命名されています。


DQH_07.png





▼エルフ一族の伝承
DQH_08.png
日:光は 闇を照らし 悪しきものを清めるチカラ
英:The light shall make the midnight bright, and drive all darkness from our sight... (光は夜を照らし、そしてすべての闇を我らの視界より追放せん)

エルフの村長が話す古くからの言い伝えです。「light」、「midnight」、「bright」、「sight」と、末尾が「ight」で終わる単語を四つそろえて韻を踏んでいます。本作で管理人がナンバーワンの名訳に推したい文章です。お見事!




▼ゼシカと張り合うマーニャ
DQH_17.png
日:あら! あたしには それに加えて 踊りがあるわ! どんな男も クギづけよ!
英:Don't be silly - my hips win every time! One wiggle of these bad boys is enough to turn any boy bad! (バカ言わないで。あたしのお尻が圧勝よ! このバッドボーイをひとたび振れば、どんなボーイもバッドになるわ!)

ゼシカとマーニャはともに、魔法が得意で美人でナイスバディ。「二人はいい勝負」だと言われた際のマーニャの台詞です。自分のお尻を「バッドボーイ」と言い表し、それを振るとどんな「ボーイ」「バッド」になる、と、そのように言っています(笑)。『ドラクエIV』のモンバーバラで踊っていた時も、確かに観客はみなバッドボーイと化していましたね。もしかしたらキングレオ王が暗黒面に堕ちたのもマーニャの踊りを見たから……?






■その他、注目の英訳

英語版『ドラクエヒーローズ』では、韻を踏んでいるもの以外にも興味深い英訳がいくつもありました。ほんの一部ですが紹介したいと思います。




▼ギガンテス襲来
DQH_09.png
日:コートルダ奪還目前!
英:On the shoulders of Giants (巨人の肩の上で)

『ドラクエ』シリーズの強敵「ギガンテス」が初登場するシナリオのタイトルです。日本版ではストーリーに焦点を当てていますが、英語版の方はギガンテスの出現を示唆するシナリオ名になっています。実際にギガンテスの肩の上で何かをするわけではなく、この章名は科学者アイザック・ニュートンの言葉からの引用です。ニュートンが科学研究においてはるか先を見渡せたのは、巨人の肩の上に乗っていたから。つまり、コペルニクスやガリレオといった偉大な先人たちが積み重ねた発見のおかげである、と、そのような意図でもって使われたフレーズであるとのことです。このシナリオではギガンテスのほかにも、『ドラクエIV』からアリーナとクリフトが初登場します。もしかしたら、この『ドラクエヒーローズ』が誕生したのもそうした歴代の名作あってこその結果である、というメッセージが込められているのかもしれません。考えすぎかもしれませんが。




▼だいまじん襲来
DQH_10.png
日:大聖堂にたたずむ巨像
英:The Statuesque Sanctum (荘厳なる聖堂)

こちらも類似の英訳です。だいまじんが登場するシナリオのタイトルが「The Statuesque Sanctum」と訳されました。この「Statuesque」は、文字どおり「彫像のような」という意味と、そこから転じて「(彫像のように)威厳のある」という二種類の意味を併せ持つ形容詞です。このシナリオでだいまじんが現れることと、舞台となる聖堂が壮大で立派な雰囲気であることの両方を「Statuesque」に込めているわけですね。なお、頭文字を「S」でそろえて韻を踏んでいます。




▼挑戦者 現る!
DQH_13.png
日:モンスター軍 最後の猛攻!
英:Here comes the last wave! (最後の一波が押し寄せてくる!)

毎シナリオ恒例のイベントです。敵軍を追い詰めると画面に「モンスター軍 最後の猛攻!」といういかにも無双シリーズらしいメッセージが表示され、文字どおり敵が猛アタックを仕掛けてきます。英語版では「Here comes the last wave!」と訳されました。「Here comes」で始まるテキストが画面にデカデカと表示されるとどうしてもこれ(↓)を連想してしまいますが、おそらく意識したわけではないでしょう。


aion0215.jpg





▼ホミロンの口癖 その1
DQH_14.png
日:うんうん! これで戦い方は カンペキだねっ!
英:Gooreat work! You're a slooper-dooper fighting machine! (よく頑張ったね! これでキミも超強い格闘マシンだ!)

最初のチュートリアルをこなした際に、ホイミスライムの「ホミロン」(英語版では「Healix」)からかけてもらえる褒め言葉です。冒頭の「Gooreat」というのは、「Great」のホイミスライム語ホミロンは「Goo」を口癖としており、「行く」の意味の「Go」を「Goo」と言ったり、「Great」を「Gooreat」と言ったりします。これはニンテンドーDS版『ドラクエIV』で「ホイミン」も使っていた口癖です。英語版におけるホイミスライム語として本作でもきちんと踏襲しているわけですね。


DQH_Healie.png





▼ホミロンの口癖 その2
DQH_15.png
日:パパにもらった 宝物なんだから!
英:My daddy gave it to me the last slime I ever saw him! (パパと最後に会った時にもらったものなんだから!)

ホミロンの面白い口癖をもうひとつ。これは、エルフの族長がホミロンの頭にある「光の腕輪」に手を触れようとした時の台詞です。後半の「the last slime I ever saw」の部分ですが、一見すると「最後に会ったスライム」と解釈したくなりますよね。しかしそんなワケがありません。父親と離別してからもホミロンはさまざまなスライムと会ってきたはずです。そう。実はホミロンには「Time」を「Slime」と言い換えるというユーモラスな口癖もあるのです(笑)。もちろんスライムのことも「Slime」と言うので少々紛らわしいですが、こうした、キャラクターの個性を強化しようという試みは同じゲームローカライザーとして見習わなければなりませんね。




▼シリーズ愛を感じさせる英訳
DQH_16.png
日:魔物が近づいてきたら 一方が飛び出して 魔物を蹴散らす。
英:When the enemy draw near, one of us will meet their advance, and launch a counteroffensive. (魔物が近づいてきたら、一方がその前方に出て反撃を繰り出す)

アクトの戦略説明。「いつもの長いやつ」です。英語版の方は特段飾り気のない直訳に見えますが、注目すべきは「近づく」という意味の「draw near」です。この「draw near」はファミコン版初代『ドラクエ』で敵が出現した際に表示されるメッセージ。欧米のドラクエファンの間で最も有名なフレーズでもあります。初代以降しばらくの間使用されず「appear」に置き換えられていましたが、ニンテンドーDS用のリメイク版など比較的新しい作品では一部の戦闘でのみ「draw near」が復活を果たしたりもしていました。本作でも要所要所でこのフレーズが出てくるため、昔からのファンに対するサービスとして意図的に盛り込んでいると考えられます。


DQH_Draw Near





▼さよならは言わない
DQH_18.png
日:今生の別れってわけでも ないんだし。
英:It's "see you soon", not "farewell"! (「またね」であって、「さようなら」ではないわ)

エンディングでのマーニャの名台詞です。世界に平和が戻り、マーニャ、ビアンカ、テリーといった歴代キャラクターたちはみな元の世界に帰らなければなりません。別れを惜しんで悲しみに暮れる主人公一行を元気づけるため、マーニャが「きっとまた会えるわ」と前向きに言います。単語はどれもシンプルですが、とてもステキな言葉ですね。原文を凌駕しているといっても過言ではないでしょう。まさかマーニャの台詞で涙腺が緩む日が来るとは……。





英語版『ドラクエヒーローズ』の翻訳紹介は以上となります。

欧米における『ドラクエ』シリーズは日本と比べ影が薄い存在であり、本作もそれほど注目されているわけではなさそうです。しかしそれでも欧米のゲーマーができるだけ楽しめるようにと工夫を凝らした翻訳をする姿勢は敬服に値します。英語版の翻訳会社としてクレジットされているのはローカライズサービス会社の「Shloc Ltd.」さん。スクウェア・エニックス社との間でどのような業務分掌が設定されていたかは不明ですが、とにかくこの「Shloc Ltd.」さんには今後要注目でしょうかね!


DQH_Shloc.png


ここで取り上げた以外にも、面白い英訳はまだまだ数多く存在すると思いますので、英語版『ドラクエヒーローズ』で何か良訳を発見したらぜひ教えてください!

ではでは。
 
 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
スポンサーサイト

☞ 関連記事

ブログパーツ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。