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ゲーム翻訳 18 ~程度を表すテキスト~

<程度の差が伝わるような翻訳>

ゲームでは、ゲームの難易度、キャラクターの能力、武器や防具の強さといった要素の程度を表すテキストを多く見かけます。今回は、そういったテキストの翻訳について少し話をさせていただきます。


・程度を表すテキストの例

まず、ゲームで登場する「程度を表すテキスト」とは、どのようなものがあるのでしょうか。いくつか例を挙げてみたいと思います。

おそらく、みなさんが最もよく目にするのはゲームの難易度を表すテキストではないでしょうか。ゲームの難易度は、「1、2、3、4」などと数字で表されるケースは少なく、「Easy」、「Normal」、「Hard」といったテキストで表されるのが最も一般的であるように思えます。

GameDifficulty

また、PCゲームでよく目にするものとして、グラフィックやサウンドのクオリティを表すテキストがあります。コンソール機とは違い、PCのスペックは所有者によってまちまちです。PCに高価なグラフィックボードを取り付けている人もいれば、そうでない人もいるでしょう。そのためPCゲームでは、各人のPCのスペックに合わせてグラフィックやサウンドの品質を自由に設定できることがあるのです。

GraphicsQuality

他にも、RPGで攻撃力や防御力といったステータス値をテキストで表すこともありますし(普通は数字で表されますが)、シミュレーションゲームで、各組織の勢力の大きさや治安の良さ、民衆の満足度の高さといった要素をテキストで表すケースもあります。


・程度の差が伝わるように翻訳する

では、ゲーム翻訳でそのような程度を表すテキストに出会った場合、どのような点に留意すべきでしょうか。私見を述べさせていただきたいと思います。

まず大前提として、そういったテキストは、程度の差をユーザーにきちんと伝えることができなければ全く意味がありません。そのため、時には原文の字面を無視し、表現を変えてでも、程度の差が明確に伝わるような日本語に翻訳する必要が出てきます。

例えば『信長の野望』のような戦略シミュレーションゲームで、各組織の互いの好感度を表すようなテキストがあるとします(「武田は織田をどう思っているか」みたいな)↓

Friendly
Trust
Like
Neutral
Dislike
Hostile
Hate

(上にいくほど好感度が高い)

もし、これらを辞書通りに直訳するとしたら、以下のような日本語になります↓

Friendly → 友好的
Trust → 信用している
Like → 気に入っている
Neutral → 中立的
Dislike → 嫌っている
Hostile → 敵意を持っている
Hate → 憎んでいる


意図的にひどい直訳にしてみましたが(笑)、これではそれぞれの好感度の高さ(低さ)が伝わりづらいため、ユーザーを混乱させてしまう可能性があります。この場合、上にいくほど好感度が高くなるということを、ユーザーがすぐに認識できるような日本語に翻訳すべきです↓

Friendly → とても気に入っている
Trust → 気に入っている
Like → 少し気に入っている
Neutral → 中立的
Dislike → 少し嫌っている
Hostile → 嫌っている
Hate → とても嫌っている


このようにすれば、各テキストの程度の差が伝わりやすくなりますよね。

また、程度を表すテキストの中には、実際にゲームをプレイしないと正確に訳すのが難しいものもあります。例えば、過去に私が翻訳を担当したゲームの中で、キャラクターの肉体の強さを表す以下のようなテキストがありました↓

Strong
Fairly Strong
Very Strong


上下の二つは「強い」、「とても強い」とでも訳しておけば十分ですが、問題は中央の「Fairly Strong」です。Fairlyという副詞を辞書で引くと、「1.公平に 2.かなり、極めて 3.ちょっと」などと載っています。この場合は、「2.かなり」か「3.ちょっと」の意味で用いられていることが想像できますが、「かなり強い」と「ちょっと強い」では、日本語として受ける印象がだいぶ変わってきますよね。
私は最初、特に根拠もなく2を採用して、「かなり強い」と翻訳したのですが、後から実際にゲームをプレイしてみると、「Fairly Strong」が「Strong」よりも程度が低いことが判明したのです。つまり、「Fairly Strong → Strong → Very Strong」の順に強くなっていく、ということです。
そのため、程度の差を正確に反映させるため、「Fairly Strong」を「少し強い」とリライトすることにしました。

上の二つの例のように、原文を直訳すると程度の差が伝わりにくいと思ったら、多少異訳(意訳?)をしてでも程度の差を明確に出すべきだと思います。


・異訳すべきでないテキスト

上では、「程度の差を伝えるために異訳すべきテキスト」の例を挙げましたが、程度の差を明確にするためなら何でもかんでも表現を変えていいわけではありません。程度の差はあるが直訳した方がいいテキストも存在します。

まず、言うまでもないかもしれませんが、アイテム名やステージ名といった固有名詞は、それぞれに程度の差があるとしてもなるべく直訳に近い形で訳出した方がいいでしょう。例えば、武器の名前で「Copper Sword」、「Steel Sword」、「Dragon Killer」というものがあるとします。程度の差を明確に出すために、これらを「弱い剣」、「普通の剣」、「強い剣」などと翻訳してしまうと、各武器の個性を取り去ってしまい、ユーザーの楽しみの一部を奪うことになりかねません。この場合、「銅の剣」、「はがねの剣」、「ドラゴンキラー」と文字通り翻訳すべきでしょう。

また、アイテム名といった固有名詞でないとしても、少し凝った言い回しで程度の差を表しているテキストの場合は、分かりやすく異訳すべきかどうか迷うところです。例えば、ゲームの難易度で「Nightmare」というものを見かけることがあります。

Nightmare

これは「Very Hard(ベリーハード)」などと翻訳した方が程度の差が伝わりやすいのも事実でしょうが、「Nightmare」という少々味のある表現が用いられているため、なるべくその表現を尊重したいところです。まず、上記のようなゲーム画面の場合、上から難易度の低い順に並んでいることが一目瞭然です。それに、「Nightmare」という字面を見れば、「悪夢のような難しさだ」ということが何となく伝わるような気もします。そのため、「Nightmare」からわざわざ別の表現に変えなくても特に問題はないでしょう。

このように、固有名詞のテキストや少し凝った言い回しで程度の差を表しているテキストの場合、なるべく個性や雰囲気を残すためにそのまま翻訳した方がいいかもしれません。その辺はケース・バイ・ケースになってくるので、担当者間で話し合って決めていくのがいいと思います。



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